金色の帆

金色の帆が夕陽の中に
私の足許の
わずかな希望をさらって
輝きながら
すべる様に遠のいて行く

夏の日の夕方

湖はひたひたと歌い続け
対岸の山なみが薄青くいざなう中を
私一人が立ち
歌う事も なみだ流すことも忘れ果て

金色の帆を追う
足指の間の砂が
波の度 崩れ
広い水の中に惜しげに散らばるのが解る
時折
水に映る姿は
例えようのない歪み方をして
実在の 私が居ないのだと解る

帆が、はためいて
遠く遠く夕陽を追って去った
あの ヨットの彼方には
岸辺などなくて
永遠に
湖が拡がっているに 違いない
陽が落ちる地点を目指して
すべっていくに違いない

やがて一点となって
それでもキラキラ 輝いている

金色の帆の見知らぬ人よ

私をも奪い去って行って欲しかった

投稿者

滋賀県

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