夜勤
暗闇の中で働く
囁く
声と指は一定の距離が保たれている
そのために肉体がある
肉体のために空港がある
滑走路に置かれたピアノは
調律が三時の方向にずれたまま
夜明けの離陸を待っている
週末になると
この街では影が買える
道路が薄く伸びて臨海まで続く
昼間に捨てられた足音が
消える間際に小さな音をたてる
やがてまた溢れ出す
真新しい足音
真新しい人
不安と焦燥は質が悪い
けれど鞄の中には一握りの
幸せを隠し持っている
怪獣が攻めてきたぞ
そしてさよなら
コメント
そしてさよなら 冒頭からずっと来て、最終行のその言葉が何だか潔く心地好くこころに響きます。
たもつさんの詩を真似て書こうと思っても(今のところ)私には書けません。たもつさんにはたもつさんの独特の詩の空気感と雰囲気などがあり、その詩の世界の強度などが複雑に織りなされているように感じます。たもつさんにはたもつさんの詩の法則のようなものがあるのでしょう、ね? ふふ。そう感じます。すてきなことです。でも、そうですねぇ、その代わりに私は私の領分の詩を書いていきます。たもつさんの詩が、そう思わせてくれることに感謝します。
@こしごえ
こしごえさん、コメントありがとうございます。
その人その人によってあたり前のように個性が違いますよね。私は詩を書く人の目を感じるのが好きです。あっ、こんなところを見てるんだ、という発見、驚きがあります。
こしごえさんの最新作 無縁塚ととんぼとわたし、とても素敵でした。こしごえさんの目、こしごえさんにしか見えないもの、感じることができました。
ありがとうございました。
離陸するピアノが
音を立てるのが、聞こえました
素敵です
夜勤、というイメージから、少しずつ世界が広がってく。その広がりの妙を想いました。
怪獣が攻めてきたぞ
そしてさよなら
…意表を突かれました。
詩的イメージと表現の宝庫のような作品ですね。終わり方がまた良い!
@那津na2
那津na2さん、コメントありがとうございます。調律ずれてますが、ピアノは飛びます。音を聴いてくださってありがとうございます。
@長谷川 忍
長谷川 忍さん、コメントありがとうございます。夜勤明けの開放感と孤独。怪獣、拾ってくれてありがとうございます。
@あぶくも
あぶくもさん、コメントありがとうございます。書くたびに、自分に課題を課しています。何ひとつとしてクリアできてないのですが、またお時間あったら読んでやってください。