日常という名の迷宮
アクアリウムの狭い部屋
唯一の空想に遮られた日差しが
薄いカーテンの隙間を泳ぐ
生命の成り立ちは肺魚の如く
僕を周回しては化石となり
ギチギチと耳鳴りな朝に鳴る
虚数を探る君の儚い横顔に
そっと手を触れる日々のイメージ
ゆるぐる音波の高低によって
現象は言葉の羅列に混ざり合う
まるで神罰を描くアニメーション
ソファに置いた四ブンの三
無造作な空気はブルーに翳り
グラスに付けた不揃いな歯型を
譜面の上で記号に見立て
パガニーニの憂鬱な思い出は
猫の鈴のリリリと騒ぐ様に
よく似た秘密を握っているのだ
そうして僕に繋がる複雑な運命線は
絶望を覚えたばかりの日常に戻ってしまう
今この瞬間
いつもの呼吸をいつものように忘れた
[TONOMOTOSHO Rebirth Project No.089: Title by ミズ]
コメント
読みごたえがあって、不思議に日々の泡のような、まさに迷宮のような。
この詩を少しイメージするのが難しかったが、水槽のようなベッドルームで、一人孤独を味わう姿を思った(それは日常である)
それでもたまに水面にでて息しないとね。