檸檬風
檸檬が眠っている
そう伝えると
Leの発音が上手すぎて
たくさん笑った
水辺にある満員電車の名残り
その色と形
黄色い皮の中に
幾筋の風が吹いている
わたしの皮膚は汗ばんで
湿っているから
もう夏も終わるのかなと思う
檸檬の隣には
立派な街がある
人や物が動いている
歩道橋が撤去されたあとには
同じ形の空がはめ込まれていて
他のと見分けがつかないくらいに
まぶしい
制服姿の男子が疾走する
わたしもあんなふうに
速く走れたら良かったのに
鍵をかけ忘れた冷蔵庫の野菜室や
暦に記した束の間
手慣れた所作でゆっくりと
毎日の物事を終える
会いたい人がいる
檸檬の風に吹かれて眠っている
不確かに参列する
コメント
>歩道橋が撤去されたあとには
>同じ形の空がはめ込まれていて
>他のと見分けがつかないくらいに
ここ好きです。
知らない町の情景だけど、とても懐かしい。
@たかぼ
たかぼさん、コメントありがとうございます。空は何にでも形を合わせることができて、私には眩しすぎます。
@AB(なかほど)
ABさん、コメントありがとうございます。
なんか、ふと、くたさんのお名前を思い出してしまった。
街には何か共通項のようなものがある気がします。それは心の中にあるのかもしれませんね。
鮮やかで、瑞々しい。
同じセットで撮影された時系列の異なるシーンが、
残像のように幻のように重なり合って、
そこにまた別の景色が浮かび上がってくるような。
@大覚アキラ
大覚アキラさん、コメントありがとうございます。アキラさんのコメント自体が詩のお届け物ようです。
瑞々しいというお言葉、ありがたくいただきます。もう、干からびてるお年頃ですが 笑