秋になって
盛んに秋虫たちの 夜を
ついばむように生命を
広げるのを聞くにつけ
この<夜>という部品が
<朝>という建築物に
当て嵌まるように 確乎と
臨在してゆくのを この肌
この耳 この目は感ずるのだ
それらは皆 一途に明日を目指す
微笑ましく 流動的な
例えば 海が波に 相応しい
指環を与えてやるような―
月の出は遅く その輝きは
金属的な清冽さで充ちている
その滴りは 地のふくらみへと
静かに舞い降り 地軸に
正確な傾きを賦与し その
輪郭はまるで夜を庇うような優しさ―
歴史の夜として 死灰が視界に
反映する その著しい裂開は
まるで乳房のような可能性だ
そして新しいフランス語の
辞書のように庭に広がる
花々を祝そうとしている
朝を新鮮に迎えるために
どれほどの意匠が要ろうか―
与えられる近さを受け取ってゆけばよい
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