供養
だんな、だんな、夕べ奴がでたんですよ。
ゴキブリ
ゴキのやろうでさぁ
ってだんな
どうか最期まで聞いてってくださいよ
先日台所に出た奴を新聞紙丸めてぶっ殺してやったんですがね
そいつが生意気にも化けてでやがったんで
なんだかこう青白くぼうとひかってるとおもったら
魂魄この世にとどまりて恨みをはらさでおくものか
とこうきやがったんでさぁ
こうなるとわしも黙っちゃいられねぇ
ゴキのくせしてなにが魂魄だ
ゴキはゴキらしく下水道にでも戻って往生しやがれ
と怒鳴りつけてやったんで
するとやろうまた言いやがる
一寸の虫にも五分の魂というじゃねぇかともう半泣きで食い下がってきやがる
わしもなんだかばかばかしくなってきやしてね
じゃこのわしにどうしろというんだよと聞いてやったんでさぁ
そうしたら奴が餓鬼供養をして欲しいっていうんでさぁ
わしもその頃にはなんだかちょっとかわいそうになって来ましてね坊主呼んで施餓鬼供養をしてやったんでさぁ
奴はありがとうございます、ありがとうございますと何度もあたまを下げて往生して行きましたよ
だんなゴキブリで生きるっていうのも楽じゃありませんねぇ
コメント
こんにちは。初めてコメントを失礼致します。
一気に読んでしまいまして、イイなぁ!と思いました。そして、ふと…
ゴキちゃんが飛ぶ恐ろしいスガタを思い出してしまいました。(ーー;)ゞ
リリーさん はじめまして。
飛んでる最中にミートしたいのですが
あいつぁそんなやわなやつじゃありませんでした
ちゃんと供養までしたんだから
もうかえってくるなよと、念じてます。
落語らしい雰囲気がありますね!
ジロー さん
嬉しいなあ
最近は音楽と
何故か落語を流しながら寝てます。
いざ
書こうとしたら
まあ難しい、本当に。
どうして、難しいのかわからないくらい
奥が深いのだなあと、感じています。