振り子の力学

這うように歩くと水たまりが
フラミンゴ色に感光する夕空
電動アシスト旦那のペダルを踏む団地妻
自動入金装置で妻帯者から搾取するVR妻
コンビニATMに無心するも残金は断末魔
人工衛星で終日位置情報を示す搬送波
おのれの不徳をカラスに罵られ
公園の立型水飲水栓で禊を済ませ
明日にはきっと不老不死となり
来世にはアスタリスクとなって
不遇の誰かの祈りを参照し
土の上で踊る山椒魚の影に
放屁して鞦韆(ぶらんこ)

投稿者

東京都

コメント

  1. 導入の夕まずめの情景が魅力的でこれはよく読まなくちゃと思いました。
    でも結局何回か読んでも僕の読力ではこの詩がどちらへ向かっているのか自分なりの解釈もできませんでした。

    後半は井伏鱒二の山椒魚とカエルの話かな。祈りは閉じ込められた者の声かな。
    そこに放屁は井伏が山椒魚の結末を変えたことに関係しているのかな(野坂昭如は「読者はどうなるのか、ひとりよがりもいい加減にしていただきたい」と言った)
    それとも放屁は「咳をしても一人」みたいな感じだったのか。両方かもな。

    なんにしろ僕の力不足でしたが、団地妻、VR妻、断末魔、搬送波の韻は気持ちよかった。あと明日に不老不死になるのに来世を望むっていうのがせっぱつまってるなぁ。
    何度もいいますが出だしの雨上がりの情景、浮かべると美しい。

  2. 王様<コメントありがとうございます、嬉しく思います、山椒魚のシルエットのイメージだけ先にあったので、実は井伏鱒二のは、まだ読んだことがなくて。野坂昭如の話にはハッとさせられます、無責任なんですが、読んでくださる方の「答え」を出せるほどのことが言えなくて申し訳ないですが、最後のイメージは安易ですが黒澤の「生きる」です。わたしは公園でブランコに乗る時いつもそれを思い出します、深くなくてすみません。

  3. 一行ごとに左右に振り切るイメージのせいで、ああ誰もが無意味な人生を送っているのだなあ、と感じさせられました。漢字で書く鞦韆って、実際のブランコにはない複雑さがあって面白いですね。その違和感がこの詩の「答え」なような気もしますが、「答え」なんてそれぞれで良いんじゃないですか。

  4. あ、僕はいつも答えを求めているわけではないので、そんなに気をなさらずにね。特に不満があるはけじゃもちろんないのです。逆にいつも感謝してます。
    僕は読んでなにか感じれれば(今回のようにわからなかったというのも率直な感覚です)、いつもよかったなぁと思う人間です。逆に何も感じないというか、疑問もわかないというか、考えてみたいとか、言葉にしてみたいとかないと勝手に消沈します。勝手なものです、すみません。
    「生きる」好きな映画です。
    あと、米津玄師の「灰色と青」のMVのブランコもいい。

  5. トノモトさま<ありがとうございます、「答え」に固執しているのは私でして、読み手のことまで考えきれていないことにハッとしました。
    王様<率直で真摯な意見、ありがとうございます。
    以前、ある方に私の詩は「カミソリで皮膚を切るような感じ」と言われました、その時はなんとなく褒められているのかなと思っていましたが、ずっと棘が残っっていて、文字通り皮肉というか、表面的で、本質的なものから逃げているのではないかと思うようになりました、自分自身でもわからないものは、わからないのですが。今後ともよろしくお願いいたします。

  6. timoleonさん
    お久しぶりです。
    timoleonさんの詩も楽しかったですが、コメントの方がもっと楽しかったです。
    放屁して鞦韆(ぶらんこ)に魂が揺れ続けています。

  7. yoyoさん<とってもお久しぶりです。コメントは思わぬ方に転がりますね〜、ありがとうございます。

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