行き先
ほんとうは、みんな大好きでいたかった
うまく、やりたかった
やりたかったんだよねえ、先生、
って
千鳥足で
あと一口飲んだら
吐く
忘れて
忘れていいよ
駅まで手を繋ぐのも
今日だけなら許されるでしょう
どうせあと三十分
あと三十分で
ハッピーニューイヤーだし
一人では許せないね
ぜーったい許せない!
いつも以上に頬が赤い
腕をぶんぶん振りまわす
先生をいじめる敵
倒したいです
じゃなくって
そうじゃないんだな
足りないからって
コンビニで酎ハイ一缶買って
分けて
吐いて
素面に戻ったら
しんみりして
牡丹雪がしみて
泣けるから
却下
この、人の流れに逆行しますか?
この状況で?
天国で再会するって約束したから
そこにはみんないて
敵も味方もないって信じてるからさ
行けなくなるからねー
そやそや
却下
繋いだ手は
おかしくて
わたしも
先生も
最初から何もかも
おかしいまま
残り時間は僅か
本当は、うまくやりたかった
大好きな人たちを
大好きなまま
いたかっただけだ
悔しいなとか
やってらんないなとか
こんな夜に
許せそうな
二人なら
すべて許せそうな
気持ちになりたくて
見上げたー
雪、
この雪はなんていうの
先生
コメント
言葉を書くのではなく、言葉を吐く。
この詩の痛みを知った風にあれやこれや言うのは、いけないことのような気がする。
でもなー、切実な思いがあって、切実なテキストがここにある。なんなかー胸に迫るのよ。痛くなる。
不器用で繊細で飢えていてだらしなくて生きるために酒飲んで泥酔する人と心中したいです…心中したいんです。
しかし、たけださんの比喩は美しすぎる、すごいと思います…。
通り過ぎようとしても離れられないようなちからがあると思いました。
先生、といういとおしい響きがいつまでも在ります。
先生、という響き、甘えであり尊敬であり。先生(愛に気づいて)、って呼んでいるんだと思います。