部屋
男の部屋はあらゆる物で溢れていた。タグのついたままの服。化粧品。生活用品。殆どが未開封のままだ。男が私を潤わすために冷蔵庫を開ける。びっしりと並ぶデザートやお惣菜、アルコール。一口飲むか飲むふりをするか迷う。シャワーを借りる。カビや汚れは見当たらず生活感がない。なにかを間違えたような気がしてくる。所狭しと並べられているシャンプー、コンディショナー。一度や二度誰かが使用したのだろうか。洗面台。プチプラから高級ブランドまで化粧水や美容液が隙間なく敷き詰められている。やはり未開封だ。一つくらいバッグに忍ばせてもバレないだろう。部屋に戻る。男の眼球。これまでに映してきたものを言葉なく物語るはずだ。深淵から気づかれないように覗きこむ。視線は暗闇を進む。突き当たる場所まで。怖い。怖くはない。私は間違えている。今までも、これからもずっと間違え続ける。欲しいものはなに?
コメント
背筋がぞくっときますね。
私は間違えている。今までも、これからもずっと間違え続ける。
ここがとても怖い。この場面でこのフレーズがでてくるのが。ホラーというより、人の心の深淵、もしくは深淵の一歩で覗き込むような感覚です。
こういう状況ってクセになるのかもしれません。
花巻さん
こんにちは
登録してもらっているメールが使えなかったのでこちらで失礼致します
突然ですが、ポエコラの依頼をしたいのです!
如何でしょうか?
poeticbomb88@gmail.com
ご興味ありましたら
連絡をくださいませ!
那津