リスカ
痛くしなきゃいけない
あたし痛くしなきゃいけない
青いのと赤いのを
初めての時はコンパスの針でやったんだけど
一番いいのはやっぱりカミソリだって掲示板にもあったし
このままだと死んでしまいたくたるから
そのまえにやらなくちゃ
痛くしなきゃ
そう
スーっと熱いような冷たいような
手首を通り過ぎるだけでいい
全身の毛穴が同時に一瞬開く感じ
その瞬間に毒がすぅっと抜ける感じ
自分がまとっている空気が自分以外のものに
触れていることがひどくあたしを不安にさせるから
なんだかトイレから出られない
本当はなぜかって聞いたことなんかないけど
キレる理由なんてないし
人を殺すことはいけないことだし
自殺だっていけないことだから
ママもいろいろ言ってたような気がするけど
実際あたしが悪いんだし
どうすればいいのかなんてまだわからない
でもこうすれば何となくだけどとりあえずだけど
気分が落ち着いてくる
だから
あたし痛くしなきゃいけない
なんか生きるってすごく生々しくて毒々しい
今カットした部分を見てると何かすごくそんな気がする
コメント
なんか生きるってすごく生々しくて毒々しい
このフレーズが、この詩のすべてを表しているように思いました。生きるって、そうだなあ、と。トイレから出られない、という描写も、臨場感があって、迫ってくるものがあります。
もし、身近にそういうひとがいたら、たぶん、説得はできない。…じっと、話を丹念に聞くしかできないのかな。
その昔、電車で何本ものリスカ痕のある女性の腕を見て書いた詩ですが、長谷川さんのおっしゃる通り、周りの人は説得よりもまずは話を丹念に聴くということが肝心のようですね。
書こうと思った動機そのままに、この詩がひとつの傾聴姿勢となれているのかは自分ではわかりませんが、自傷行為(他傷も)をしてしまう原因そのものが少しでも癒やされることを願ってやみません。