彼の人
彼は、美しすぎる人だった
疑うことを知らない、愚直な人だった
ガラスのように透き通った、心の持ち主だった
美しいものは狙われる、どんなものでも
泥の中のガラス玉が、綺麗に光るように
美しいものは目をつけられる、輝くから
彼は、美しすぎる人だった
眩しかった、見つめれないほどに
雲間から見える、光のように
美しいものは褒められる、時として
褒められるがために、嫉妬を生んでしまう
美しいものは狙われる、憂さ晴らしとして
彼は、美しすぎたのだ綺麗すぎたのだ
泥の味を知らない、血の味を知らない
純粋で可愛らしく、宝石みたいな人だった
泥の味を知った人からは、泥をぶつけられ
血の味を知った人からは、傷つけられ
それでも抵抗はしなかった、強かった
彼は、どこかへ消えていった
人々は悲しんだだろうか、つらいだろうか
私は、とてつもなく悲しいのだ
泥の味を知っている、血の味を知っている
だからこそ、彼の存在は
妬ましくも、こうでありたいという
そんな人であった、夢であったのだから
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