檸檬
麦焼酎のロックに檸檬を絞れば
金粉になって
グラスの底に沈んでいく
センチメンタルな別れのことば
振りはらおうと
あがいている姿が
やはり
黄色くなった泉をのぞいている
曲がりくねった
土塀の続く小路、
行き着く先に
かつての口づけが埋まっている
埋まったくちづけの呻唸を
時折 聞きに行くのも雨の夜
しゃぶって齧ったレモンの皮を
流し台に捨て、唯
無性にねむりだけを恋う
麦焼酎のロックに檸檬を絞れば
金粉になって
グラスの底に沈んでいく
センチメンタルな別れのことば
振りはらおうと
あがいている姿が
やはり
黄色くなった泉をのぞいている
曲がりくねった
土塀の続く小路、
行き着く先に
かつての口づけが埋まっている
埋まったくちづけの呻唸を
時折 聞きに行くのも雨の夜
しゃぶって齧ったレモンの皮を
流し台に捨て、唯
無性にねむりだけを恋う
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コメント
檸檬、というと、梶井基次郎の掌編とさだまさしの歌を思い出します。口づけ(くちづけ)という言葉が、印象に残りました。埋まっている。呻唸。
檸檬の漢字表記が冷ややかなイメージで、酸味が傷口に染みるような表現だったり、強めなお酒と情事の余韻も色濃く、なのにさわやかな読後感。情景が鮮明に降ってきて、痺れるような詩でした。
@長谷川 忍
様へ
お読みいただきまして、ご感想のコメントをお寄せくださり嬉しいです。
どうもありがとうございます。
「檸檬」は、ずっと書いてみたいオブジェでした。さだまさし さんの檸檬は、
好きな歌です。…(笑)
@ザイチ
様へ
どうもありがとうございます!m(_ _)m 大変嬉しいご感想のお言葉を
いただきまして、この作品を書けたことに自分で良かったと素直に…
思えました。^ ^
この詩は初稿から、ことばをかなり練りました。けれども頭で考える
わけじゃなく構成は、ごく自然にまとまった作品です。産み出す迄に、
(ペンを取る迄に)ずっと待ちました。自分で書ける時の、訪れるまでを!
レモン、とカタカナにすると、爽やかさとか若さ、初恋
とかいったものを連想しますが
檸檬、と漢字にすると、爽やかさもありつつ
あの独特の苦みによる痛さ、というものを連想させてくれます
アルコールに酔って眠ってしまいたい気持ち
解るなあ、としみじみ
@雨音陽炎
様へ
お読みいただきまして、ご感想のコメントをお寄せくださり
どうもありがとうございます。^ ^
ご注目くださった最終連。苦味あるレモンの皮を、しゃぶって齧る。
ここのリアリティが自分で気に入っております。そして眠りだけを、
恋う。この心境を、しみじみ感じとって頂けました事、とても嬉しく
思います。