澱み
何時なのか 知るつもりもなく
近すぎず遠すぎもしない
道路工事の音が耳に心地よい
薄地なカーテンシェードで遮られた
街路灯の漏れこむワンルーム
あそこの窓に 月明かり溶けて映れば
敷かれた一枚のシングル布団は透明度高い海の底
身の隣り合う彼の眠りは深いのか
抱きしめてくれる彼との夜はいつも
一脚のグラスに ゆっくりと注ぐ白葡萄
澄んだ琥珀を仲良くながめる
若い二人は芳醇な甘味とはいかない口に広がる香りを楽しむだけ
寝入る彼は青い海星
あたしにとっては たった一つ見つけた
うみのほし
今夜の彼が抱きしめたのはウニだったのか?それとも貝?
どちらにしても二人とも
泳いで行けない似た者同士
泳げない女心は銀の鱗のお魚に
目移りすることもあるのです
だからクルリと彼に背を向けて
また 眠りの淵に堕ちていく
コメント
ちょうど二年ほど前に仕上げた作品です。
現在の詩と比べると……生真面目?で可愛い。面白味には欠ける。(笑)
などと勝手に感じて、投稿してしまいました。m(_ _)m
はじめまして、雨音陽炎と申します
月明かり差し込んだ部屋の中を、海にたとえ
一見、夜の海は月明かりに照らされてとても美しいのだけれど
何故だかとても息苦しさを感じてしまう
偽物の海の中で、泳げない主人公は
うまく息をすることもままならないでいるような
面白味に欠けるとのことですが
そんなことはないと、私は思いました
@雨音陽炎
様へ
はじめまして。お読みいただきまして、ご感想のコメントをお寄せくださり
大変嬉しく思います。どうもありがとうございます!^ ^ 丁寧に読み取ってくだ
さいまして、感謝いたします。
そうですね…。この作品は若い恋人同士の、稚い故の性の悩みといいますか…
そこを表現しております。
当時、原稿へ取り組みました自分を振り返ると、どのように描写すれば伝わる
だろうか?と随分悩んで推敲しました。そこには常に恥じる(恥ずかしい)気持ち
がありました。書き手として、それは大切な感情なのだろうと現在も思っています。
雨音陽炎様に、この作品への面白味を感じていただけました事、本当に良かった
と思います。どうか今後とも、よろしくお願い致します。m(_ _)m