白の系図
うちあけることは、むつかしい
しろながすくじらが
ほえるとき
わたしは
ちいさく「え」と鳴く
しろつめくさが
幸せを茂らせるとき
わたしは
亡霊とかけ落ちする
シロフォンが
はずむ音色を奏でるとき
わたしは
宇宙のすみで星と笑う
白映えが
ほのかに大気を湿らせるとき
わたしは
名の無い華と握手する
無色透明の風に
白骨化したわたしは
桜の下で
春が死におよぶさまをみとどけて
素っ気無くサヨナラをして
どこへ行くともなく
さらす
影も形も無くなった頃
生まれるわたし
幻だった
夏がきて
氷菓子を一口すっと食べた日は
太陽が白い光線を
放っている
コメント
白というのは、不思議です。色といっていいのかどうか、迷ってしまいます。その微妙な光景が表現されていますね。三連目の、しろつめくさの描写、好きです。亡霊とかけ落ちする…。
長谷川さんへ うん、言われてみれば、そうですね、白ってふしぎ。白色ですね。まあ、むつかしいことは知りませんが、光の具合などやヒトの眼(や脳)で白く見えるのでしょう。はい、その微妙な光景をすてきに読んでくださいまして、ありがたいです。
三連目を好きだと言ってくれて、貴重に思います。まあ、どの連もそうなのですが、うん。汲んでくれたこと、ありがとうございます。