心感デッサン18

心感デッサン
2024.6.1
by frogmorton  

日中の 寒風が 陽 陥って
 7時間程 経った 夜更け

まるで 雄猫の ように
 そっと 戸を開け 抜け出した

初めて 独り を 求め
 さ迷ったのだ

獣 一匹も 通らぬ
 誰も 居ない ベンチに 腰掛け

消えかけた 電灯 が
 チカチカ 瞬きをし

其処に 夜行虫が 照らされ
 光っている

枝打ちされた 木が 葉を付け
 周りは澄んだ程に

黄緑が 風に 揺れ 煌めき
 わたくしの 足の裏に

冷たい 夜風が 撫でていく

(わたくしは、何故、此処に
 たった独り、居るのだろう…) 

はぐれ草
 たったひとつの 砂粒

西の空 峰 が 真っ赤に 染まる
 誰も 迎えには 来ず

煙 二つ 虚しく 立ち上り
 もうすぐ 灯りも 消えるだろう

夜の この 風景よ
  はみ出した 辛さを 忘れるな

『人と言葉を交わす甲斐の無さ』

生きづらさを 引きずって
 蛇の巣へと 戻ってゐく

誰が 悪い 訳でもなく
 只々 引き起こした 人生に

後悔の 念 を 遺し
 幾千里 静かな 暮らしを

望んで 止まない…    

  
            

投稿者

東京都

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