そら

ぼうとしながら問題を解いていた
私はあまりそういったものは得意ではなくて
なかなか解けないものだから、頭を抱えて唸っていた

もうどうしようもなくなって
ふと顔をあげたら、景色に目をやられた

窓の外では夏らしさが香っていて
少しかすんだ青色と若々しい緑とが、朋友のようにあった

その中で目を惹いたのが
まるで堂々と、それでいて遠慮がちに
立派な白い雲があったことだ

私はつい見惚れてしまって
問題のことをしばらく忘れ
何もなしにただ見つめるばかりだった

手から鉛筆が転げ落ちて
その時にやっと我に返った

鉛筆を拾い上げ問題を解いてみると
やはり、解けない
また唸るものかと思うと、つい顔が上がってしまう

そうすると、また雲が見える

彼らは自由だ、と
彼らのようになりたい、と
そう思うのだが、そこでまた考える

私の言う自由とはなんだろう、と

そもそも自由とはなんだろう
そう考え始めると、熱を上げてしまう

今まで解いてきた問題を忘れ
今新たに出てきた問題を考え
解が出ないものだから、また唸るのだ

唸れば顔を上げる、それが私の癖なのか
それとも、私の望むことなのか
それはわからないが、どちらにせよ

そらは、今日も青々と
そらみたことかと笑っていて

投稿者

コメント

  1. 自由の中に自由はなく 不自由の中に自由があるのです。

  2. わかります。夏の空って、あまりにも明るくて、真面目さや悩みをふっとばすぐらいのパワーがありますよね。
    問題を解いている曇り顔と、空の対比がすばらしいです。思春期って多くのことが解けないほどピュアだけれど、だからこそ空と同化してしまうぐらいにキラキラしているんだなぁと感じました。

  3. @kunioさん
    お言葉ありがとうございます。
    ハナから自由であれば、それは当たり前であって自由ではないのですよね。不自由を知っているからこそ、そこから放たれたことが自由と、私もそう思います。
    ある意味、幼いころの反抗期や青春というのが最も不自由で自由な時間だったのかもしれません。

  4. @ザイチさん
    お言葉ありがとうございます。
    そう、夏の空は素敵すぎる、いなせだねってところです。空っぽなところに一つでっかい雲、あまりに心をくすぐる情景です。夏ですが青春を感じさせます。
    曇り顔と空の対比は、言われてハッとしました。なるほどそんな見え方もあるのですね。一つ自分の感性が磨かれた気がしました。ありがとうございます。

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