海/悲しみの往復
行き来する波に思考の反復をのせて
ぼくは海とつながる
両極を行き来する不安をやわらげるためだ
どちら側に振れてもかまわない
それはただの繰り返しだから
海と同じだから
幼子がことばを学ぶように
繰り返し
繰り返しても
それはただの海の一部だ
怖がらなくていいんだ
慰めがそこに無くても
何億回でも行き来させればいい
必ず戻ってこられるのだから
約束された一連の繰り返しなのだから
鼓動を波にそわせて
繰り返し
繰り返し
永遠がなかったとしても
ぼくは海の一部だから
忘れられないかなしみが
戻っては去り
また戻っても
この心が海であるなら
包まれているのだから
言葉が虚しいのなら
耳を澄ませよう
世界はただの音
行き来する波の音なのだから
コメント
よせては返す波に、よせては返す悲しみと慰めが重なる様が、拙詩 砂丘に共通するものを感じ、共感いたしました。
海に行くたびにこの詩のことを思い出しそうな、繊細でかつ大切なことを表現されている詩だと思います。
@たかぼさん
共感していただけて嬉しいです。
ありがとうございます。
@あぶくもさん
コメントありがとうございます。
わりとスラスラ書けたので、きっとぼくの心の重要な部分から出てきたことばなんだと思います。
もはや人生の答えを示してくれているような、日々の繰り返しにも意味があるかのような。すっと心に入ってくるのに、深い詩ですねー。
素敵な詩ですね
私はこの詩を読んで、中島みゆきの愛から遠く離れて
という曲が頭の中に流れてきました
愛から遥か遠く 離れてしまうときは
時計を海に捨てにゆこう
永遠のリフレインに♪
悲しみも虚しいも、吐き出せない思いも吐き捨てた感情も
海に包まれているのだとしたら
スッと気持ちも凪いでいくかもしれないですね
僕は《繰り返し》ってフレーズが好きなのかどうかわからんけど、油断していたら《繰り返し》をキメで使ってしまってます…過去⇔現在⇔未来を彷徨ってますねー
@トノモトショウさん
コメントありがとうございます。
人生ってあっちこっち振れては戻るの繰り返しのように思います。
振れきってしまうとアレなので、やっぱり中庸が大事なのかな。
@雨音陽炎さん
読んでいただきありがとうございます。
そうですね、リフレイン。波の行き来が好きなんです。
@三明十種さん
コメントありがとうございます。
ぼくは輪廻転生はあると思っている派なので、「繰り返し」というフレーズにそういう意味も含ませています。
何回でも繰り返せばいい、っていう感じですね。