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自分の性別がどっちかなんて
くだらないことで悩めるなんて
ずいぶんしあわせなんだな
人差し指で消しゴムをつついて
どこか遠くを見る目でおもう

今日食う飯があるかどうかも分からないのに
自分が馬鹿だから騙されているのに
借金はいつか返さなきゃならないのに
誰かが養ってくれるなんてアホみたいに信じて
服を買い続けた女が家にいつも一緒にいた

俺は女なんだと思うよ
生物学的にもジェンダー的にも迷いようがなく
俺って言ってるから男だなんて言うつもり?
まあ女だと認めたくないぐらいに醜いことは
黙って認めてやってもいいけどさ

教室の窓の外にはいつも燦燦と日が差していた
その時思ったんだ
俺はこの田舎町が嫌いじゃないんだなぁ、って
いつも使う帰り道にあるもの全てがきらきら光って
泣きたいくらいに愛おしかったんだ

父からは頭の悪さを教わった
良い人であるということがどういうことかを学んだ
そして人の醜さの全てを知らされた
別段知りたくなかったが、皆虐げられて大人になるのさ
結局産んだだけの男だった、そして傷付けるということは

最悪の行為さ
ある場合にはね

振り返れば楽しそうに笑顔を向けてくれる人がいた
どうして俺がこんなに悲しそうな顔をしているのか
本人ですら分からない事情を察して
理解しようと必至だったのかもしれないと思う
大好きな小さなお友達たち、皆グレてしまった、今頃どうしているだろう

恋人にしか愛を捧げないなんて
止めといた方がいいと思うぜ
世界人類が平和でありますようにだ
夢の中で見たランプをいくらかの金で買った
いつまでも現実に希望を抱けるように

教室を去る時私は誰かを助けようとだけ思っていた
自分の身なんてもうどうなっても良かったから
だから今こうして助かっているのだとおもう
死線を越えたひとは皆口を揃えて同じことを言う
自分が死んでも良かった、と

かわいらしい歌を聴くのが好きだ
恋人から電話がかかってこないとか、明日どんな服を着ようとか
別れ話も好き
俺には一生関係のない
でもどこかで誰かが刻んでいる確かな愛のびーと

俯くと涙があふれて来そうで
貴族みたいに顎を突き出して歩いてる
大概のことは冗談だけど
あなたが好きだってことは一番詰まらない冗談だよ
誰も笑わない

教室の窓の外にはいつも日が差していて
俺はいつもそこに行きたかった
ノートも鉛筆もパソコンも放り出して
ちょうちょと一緒に花を探して生きたかった
それが出来ると思うか?俺は思わなかった

世界は美しいところだよ
俺を除けばね
あなたは男だろうと女だろうと
好きな人を好きだと言って
大好きな自分になっていけばいい

投稿者

神奈川県

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