悪いヒト
職場の同じ部署に居て
とってもお化粧好きな中年の女性へ
チロリと注ぐ
デスクが近い私の視線
面倒くさくて塗り直して来なかった爪は
ネールの禿げた朝に、それとなく
さもいいヒトぶって彼女へ笑顔を投げる
「やっぱり歳をとっても頑張る気持ちが大事ですよね」
十歳は若く見えますよ!
悪戯ゴコロで褒めてみた
その日から
彼女のお化粧直しが目に見えて念入りになり
日に日に分厚くなるファンデーション
「なんか最近、Hさんの顔まっ白なってるけど」
別の部署の女性が私へ声を掛けて来て
「そうなんですよ……」
しらじらと何も答えず
今さら彼女へ
お化粧がちょっと濃すぎておかしいとも言えない
ちっちゃな悪意
そんなもの
誰にだってあるだろう
けれども時に 後味の悪さは
自分で引き受けるしかない
コメント
その年配の女性、おいくつかわかりませんけど
「頑張ってる」「若く見える」は褒めてないですよね?
確信犯的にもろ悪意を込めて嫌味云ってますね
学生の頃も、社会人になってからも
女同士の付き合いって、なんだか色々面倒くさい
いなくなった途端、その人の悪口大会ですし
その年配の女性、なんだかちょっと哀れな気もします
嫌味を云った方も、負い目を感じてるっぽいけど
内心では、ババアが無理しちゃって
なんて笑って舌出してそうで
なんだか女ってホント怖い(私も一応女ですが^^;)
@雨音陽炎
さまへ
読んでいただきましてコメントを、どうもありがとうございます!
この詩のタイトルは、最初「悪いオンナ」でした。^^或る知人の詩集を
拝読していて「悪い人」という作品が印象に残りまして。書き手のストリッパー
ぶりに感化されて、書いてみたくなりました。
実話に基づくリアリティーと、「ちっちゃな悪意」を肯定したところに作品
となり得る要素があるのかな……。
蛇足になります、裏話として。この年配の女性は職場の近辺に在住されていて
徒歩通勤。業務を終えると、毎日詰所で15分以上かけてお化粧直しをなさいます。
いつまでも若く綺麗でいたいという気持ちは、女性ならば誰しもにある願望です。
「いつもキチンとしておきたいのよ!」と、鏡と睨めっこしながら私に言われる
のだけれど。ただ……何事もホドホドが大切かなぁ。本人の性格的なものが影響
しているのでしょう。ちょっとノセたつもりが、ノリ過ぎてしまった感あって。
舌は出してなくっても十分悪いオンナだよね〜。(^^;