わたし
しんしんと降り積もる記憶
堆積し、根を張り、わたしを蝕む
脆く儚いのに触ることができない
幾重にも重なる縞模様が
果てしなくひろがる
それぞれの粒子は
時間と共に色褪せ
やがて砂塵となって
わたしの中の真空で
風に運ばれる
昨日の風は
亜熱帯の水蒸気を
豊富に含んだ生暖かい風
強い陽射しと共に
わたしを蝕んだ
しばらくすると
ところどころ煮沸した気泡が
わたしの表面に現れる
浮かんでは消える環状紋は
晒されるわたしのいのち
生まれ変わりたいわたしは
蝕ばまれ腐食し砂塵となる
風に乗って果てしなく運ばれ
行き着いた火口の中を
永遠に落ちていく
コメント
絵がいいですね。素材はミックスでしょうか? 言葉との調和が好きですね。
有難うございます。以前にアクリル絵の具で描いたものになります。火口のイメージに合うかと思って載せてみました。