わたし

わたし

しんしんと降り積もる記憶
堆積し、根を張り、わたしを蝕む
脆く儚いのに触ることができない
幾重にも重なる縞模様が
果てしなくひろがる

それぞれの粒子は
時間と共に色褪せ
やがて砂塵となって
わたしの中の真空で
風に運ばれる

昨日の風は
亜熱帯の水蒸気を
豊富に含んだ生暖かい風
強い陽射しと共に 
わたしを蝕んだ

しばらくすると
ところどころ煮沸した気泡が
わたしの表面に現れる
浮かんでは消える環状紋は
晒されるわたしのいのち

生まれ変わりたいわたしは
蝕ばまれ腐食し砂塵となる
風に乗って果てしなく運ばれ
行き着いた火口の中を
永遠に落ちていく

投稿者

広島県

コメント

  1. 絵がいいですね。素材はミックスでしょうか? 言葉との調和が好きですね。

  2. 有難うございます。以前にアクリル絵の具で描いたものになります。火口のイメージに合うかと思って載せてみました。

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