雨にうたれるわたし
かならずしも雨が憎いのではなくて
あしどりと損害による比較では
モーニングの彼がひとすじのカヌーに乗る
新宿御苑のスダジイが雷にうたれて
まっぷたつになってしまった
その次の日にわたしの愛する身体がここに収容される
雨そのものはなんでもなくて
一本のペンキの木で
そのような形と心肺組織がクライマックスを迎える
そのような朝の自慢の上昇気流をつかまえてみせて
リマンダ流のソフトな言語空間に
ひとつの定義とひとつの実例を提示する可能性として
誰にも抵抗することの不可能なシャボン玉
シベリア式の十字星が高くかかげられて
雪原のロケットドームが静かに開く
そのスムーズな開閉をしきりにほめたたえる君
さして時間を要することなく
黄色い〈玉乗り〉におおげさな優劣をつけてまでも
生き残る国とその人民は
雨にうたれるわたしと
この広場で出会うのである
抑揚のある命令の形式はすぐそこにある
分厚い瓶の魂魄の宣伝と
使用不可のアイデアと
山水画の水がイチハツをぬらしている
今日の日のとむらいの
サガレン湖の
喪失だけでぬれている
バックホーの誰にもおしつけられない
安全弁を
ときおりひきぬくわたし
雨に消されるわたし・・・。
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