鬼百合

さわらび、しぶきをあびて
タランチュラ、君恋しと思う
南京豆、しゃらしゃらと
降りかけている階段
このビルの持ち主はエジプトに去る
宇宙空間にはアジサイの影あらん
意志する者は石影にすわり
眼を閉じて、ギンヤンマになるか
サンフランシスコの巨大な研究施設で
君の毛髪を燃焼させている
ビシャン、けむし、せむしおとこ
オートセルの肩から背骨そして尻へと
ゆがんだ空間に〈わがはいそう〉
ぷつりと糸をきる、にがよもぎの
背広姿の天使のぎざぎざも
鷹揚な受け答えで、マリンバをたたき
すばらしい速度で上昇する、ツバメ
あなたはすでに欲心を割愛し
ガンダーラの砂とともに
機械の深部へと精神をひそめたる
ただ、なだらかに、握手をしてからのちに銚子岬へ
狂言師のあしぶみする舞台の底に
我は機械なり
そうして
鬼百合なりと言う。

投稿者

岡山県

コメント

  1. 坂本さんの詩は、私にはとても難しいのですが、この詩の 空気感は好きです。

  2. @こしごえ
    さんへ、コメントありがとうございます。ゆるゆるとやっております。

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