詩人の墓を乗せて

一編の詩を
書き終えたら
一編の詩を
書き始める
詩人がそこには在った。

その詩人の墓石に
とんぼがひとり
とまっている
とんぼはしばらく
じぃっとしていたが
頭をくりっとかしげたあとに
飛び立っていった。人知れず
この時の墓石の肌は
いつになく ひんやりとしていた

あの日々の詩人は
何度も何度も
同じことを言っていた
「いいも
 悪いも
 これも
 運命
 天の自由だ」

繰り返し。

世界は
いつもと変わらず
星は死に星が生まれ
人類は争いをやめず
また少女と少年はこっそりキスをして
今日も地球は回る
詩人の墓を乗せて

投稿者

コメント

  1. この詩人は墓に入ったあとも詩人として詩を書いているのかなあと思います。最終連ぐっときます。

  2. 確かに最終連の諦念にも似た終わり方が素晴らしいですね。

  3. 一連目に、惹かれます。詩の誕生、そんな想いが浮かぶ心地です。

  4. @トノモトショウ さん ありがとうございます♪
    そうですねぇ、そうかもしれません。その詩人は、墓に入ったあとも、詩人として詩を書いているのかもしれません。そのように、トノモトさんが、その詩人の意志と意思を汲んでくれて、ありがたく嬉しいです。

    最終連ぐっときてくれて、やったーーーっ、って思います。^^

    トノモトさん、ありがとうさま♪☆^^

  5. @あぶくも さん ありがとうございます♪
    ああ、あぶくもさんも最終連をいいと思ってくれて、ありがたく嬉しいです。
    最終連は、最後の二行をすこし迷って書きましたが、比較的すらすらと書けました。
    そこで、全体を何度か読んで、タイトルはこれしかないだろう、と思いタイトルを決めました。まあ、タイトルは、いつも大体最後に決めるんです。

    あぶくもさん、ありがとうさま♪☆^^

  6. @ぺけねこ さん ありがとうございます♪
    おお、一連目に注目してくれて、これまた ありがたく嬉しいです。
    詩の誕生と言われると、そうだなあ、と思います。
    その詩人は、詩がほんと好きなんだと思います。んー、その詩人にとって、詩は好きでもあるんだけど 好きとかいうよりは、詩は、生活の一部 生きることの一部、人生の一部なんだと思うんです。うん。
    だから、
    ぺけねこさんが、この詩から、詩の誕生を想ってくれて 貴重に思います。

    ぺけねこさん、ありがとうさま♪☆^^

  7. 静謐な墓場と、刻々と変化し続ける外界の対比が印象的ですねー

  8. @三明十種 さん ありがとうございます♪
    おお、そうですかぁ。
    墓場の静けさと外界の対比を意図的に自覚的に書いたつもりは無かったです。
    でも、三明さんがその点を読み取ってくれて、そこを印象的とまで言ってくれたことが、ありがたく貴重に思います。
    うん、おお、そう言われてみれば、対比されているのは、その通りですね。ああ。
    三明さんが、この詩を深く読んでくれて 嬉しいです。

    三明さん、ありがとうさま♪☆^^

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