館長の話
水族館から
水族が溢れ出した
水族は移動を続け
乾燥地帯にも
幾ばくかの水分をもたらし
貧弱な草木を発芽させた
水族館の後には
館と館長だけが残った
館長の手の甲にはいつしか
プロペラが生えた
プロペラは空を飛ぶには
あまりに小さすぎたけれど
回せばほんの少し
指先が涼しくなった
長い年月が経つうちに
何の館長だったのか
すっかり忘れてしまった
それでも思い出そうとすると
淡い幸福感に包まれるので
幸せだったのだ、と思った
水族館から
水族が溢れ出した
水族は移動を続け
乾燥地帯にも
幾ばくかの水分をもたらし
貧弱な草木を発芽させた
水族館の後には
館と館長だけが残った
館長の手の甲にはいつしか
プロペラが生えた
プロペラは空を飛ぶには
あまりに小さすぎたけれど
回せばほんの少し
指先が涼しくなった
長い年月が経つうちに
何の館長だったのか
すっかり忘れてしまった
それでも思い出そうとすると
淡い幸福感に包まれるので
幸せだったのだ、と思った
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コメント
なんか摩可不思議な詩ですねーつかみどころのなさが詩なんだよなーと思うよねープロペラ生えるくだりが突拍子もなくていいですよねー
この詩のタイトルと冒頭から来て、最終連が肝ですね。
ああ、最終連を拝読して、こちらまで、なんだか幸せな気持ちになりました。
@三明十種
三明十種さん、コメントありがとうございます。近年の小説や漫画や映画は非常によくできていて、いろいろなものが絡み合って、伏線があって、それを回収して。それはとても面白いのですが、一方、何の脈絡もなく紡がれる、例えば神話みたいなものの面白さってありますよね。
@こしごえ
こしごえさん、コメントありがとうございます。幸せ、なのではなく、幸せだと感じること、が幸せなことなのかもしれないですね。
@たけだたもつ
追伸 失礼します。
よく人は、幸せになりたい、とかって言うけれど、そうじゃないと思うんですよね~。
『基本的には、』私の場合、幸せに 気付く ことだと思うんです。
以下は、幸せについての 自作 五行歌です。
ああ 幸せに
気付くかどうか。
花にほほ笑む人と
花を踏む人の
違い
以上、五行歌。
拝礼^^