廃ガラス

 さっき山の端に消えてしまった冬茜
 建ち並ぶ商業施設の脇を流れる
 堂の川
 吹きつける風で
 こまかい波紋がわずかな灯りを掬って沈み

 アスファルトの短い橋で
 重い時刻にうつむいて
 ピカッと光って見えたものへ足を止める
 並木の枯枝にとりのこされた 烏のひと鳴き
 今日の小さな疲れが
 溝川に潜む魚のあぶくとなって一瞬、
 廃ガラスの粒子の様に光ったかもしれない

 五十路ゆく友と
 時を経て逢うたびに
 互いの容貌は凋落しても
 あかるい思いを噛んで語らえば
 また夢もめぐらう
 それでも詩は
 心虚しくする日々の空洞でいつも
 わたしを待っている

投稿者

滋賀県

コメント

  1. この詩の、どことなくある さびしさのなかに、廃ガラスの光が際立っています。
    この詩の空気感が好きです♪☆^^

  2. @こしごえ
        様へ

     読んでいただいてコメントをくださり嬉しいです!どうもありがとうございます。(*^^*)
     この作品は、ayami 様の「いつまでも心の中に」を拝読いたしまして、ふと…書いてみた
    のです。わたしにとっての流れていく日常にある物語、立ち止まった日常の中に物語が生きている。私の尊敬する詩人さんの作品にある言葉です。こしごえ様が好きだと感じてくださった空気感というのは、もしかしたら私自身の感性の若さであるのかも知れません。そんな事を思いました。

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