切通しの道 (⑦)
付き従う者たちは、観音堂にて咀嚼する
こまめに喜びを布で濾すことによって
ソロモンの遺跡から、欠けた茶碗の一つ二つだけでも
大学の小さな研究室の、鍵のかかった棚に
納めたいとも感じているのであれば
みずからの意志で、その遺跡の最下部の粘土質の
岩ほども堅くて針の先のような
神経とほどなく彼女の熱い魔法瓶からそそがれる
茶とコーヒーとホットミルクで
茫然として森の方を見つめている彼の肺の
もうすぐこの季節から息のようなボストンへと
それでも深刻な顔を見せたくはないと言うように森は
たぎられる、いぎられる、ほうしゃられる、もしゃられる
そのうちには完全なシルクの鳳仙花などとともに
手帳にしるされるベンジャミン・フランクリン
発熱した森の下部は安穏と悔恨と戸締りのために
すこしばかりの経帷子(きょうかたびら)で敷島君たちのアガペーと言う
手にはすでに見知らぬ腐敗が進行していて
このクリスマスの日にはトカラ列島の方角から
森下教授の明るい色のシャツが届けられるのだと
掘り進めるわたしの感覚する季節は
もうかなりの温度で地球のマグマを感じているのであれば
すみやかにすすみでて、いわくありげな三味線の音
そんな良識的発言でこの発掘を終わらせたくはないのだ
とにかく森はもう落葉している
彼女にはすでに森林の洞窟の中へと
ここで冬眠しましょうと言われているのである
だからこの硬い岩のようなボストンの鮮やかな冬の道
どうすることもできないままに幹から小笠原までの
見つかるまでは、隠されている遺物の
わたしのこの手でみずからにそそがれる
いっかいの、しじまの、十戒のいましめの
それでも切通しの道から彼女が
見ている。
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