ゼウスの子

JRの車輌で つい見惚れてしまう
扉の傍に立って身を寄せ合う
二人の男性のすがた

ただ蒼白く静まりたる月のかがみに
うつされる世界で
澄んだ瞳に引きしまった唇がある青年の
竪琴と
歌にするどく感受性の強い少年の
横笛が鳴り

ゲーテが頭を抱えて嘆くほどに美しかった

囁く二人の声色は
希望を開き
蝶が歓びを歌う大地の様で
輝くほほえみに
花々は咲きゆらぐ

その大地の一点に、
かすかに映った
彼らの向かい側に居る私の姿

独りうらさびしくなって
車窓の夕ぐれへ視線を流す
うつろう闇に身を沈めて 
帰るだけ

投稿者

滋賀県

コメント

  1. リリー作品は長いあいだ読んできたつもりでしたけれど
    バラでもチューリップでもない作品を出してくるなんて、、、
    日常からこんな素敵な詩情を読み取るなんて驚きました。

  2. @足立らどみ
         様へ

     こんにちは。読んでいただけて良かったです!ご感想のコメントを
    どうもありがとうございます。m(_ _)m 嬉しいです。
     これ、一年半ほど前に仕上げた作品を改訂しました。現フォーでの
    「まち角」シリーズ第5番ですよ。^ ^
     全くのノンフィクションです。新鮮な感動をそのまま描きました。
     30編ある「まち角」は、全部原稿を改訂してから20編程に編集
    し直して。小冊子を、いつか文学フリマへ出してみてもいいかな?
    とかも考えています。
     これからも、リリーの作品をどうぞよろしくお願いします。♪(o^^o)

  3. @リリー さん、改訂版だったのですね。
    懐かしさすら感じていたことの理由のひとつがわかりました。
    その他の理由としてになってしまいますが、民謡のすずらん
    の優しさと同じ色を感じました。ありがとうございます(^^)
    【和訳付き】すずらん(ロシア歌謡)”Ландыши” – カタカナ読み付き

  4. @足立らどみ
         様へ

     ロシア歌謡「すずらん」を、YouTubeで聴いてみました。
    どうもありがとうございます!(^^) 優しくってリズミカルな
    素敵な歌ですね。♪
     そうですね……この詩は、書いていても言葉がノッテくる
    感じで自分でも楽しかったです。
     

  5. はじめまして。凄くわかりました。わたしはこんな寂しい気持ちになって通り過ぎた事がありました。とてもステキです。ありがとうございます。

  6. @暁月美雨
        様へ

     こちらこそ、読んでいただきまして、ご感想のお言葉をお寄せくださり
    どうもありがとうございます!m(_ _)m とても嬉しいです。
     共感してもらえまして、この作品を書いて良かったと思いました。^^
     公開くださっています御作品、拝読させていただきました。♪
    語彙も練られていて構成も「うまい!……」です。書き慣れて
    おられる方だなぁと感じました。満月の妙なる神々しさが伝わって
    まいります。リリーは、コメントが下手くそなので思ってる事の
    半分も言葉に出来ないから、もどかしいです。(ーー;)ゞ
     これから、どのような輝きを放つ御作品を公開くださるのかが
    楽しみです!今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

  7. 透き通るような美しい詩をお書きになるのだなと思いました。羨ましいです。私には書けません。こちらこそ、これからよろしくお願いします。

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