草食のへび
薔薇の叢から出でて
林檎はへびをたべる
脊椎を貪る音は
むささびの住処にあの女を誘う
からだをくねらせ獲物を狙う女
その瞳孔は鶏冠鶏頭を映し出す
ニトログリセリンの花粉と
プロメテウスの鱗粉は
瀕死のへびを弱らせる
林檎は容赦なく
尖った歯を突き立てて笑う
ニヒルが高じて
魂が乾いた動物
錆びれた鱗と
萎びた舌先と
焼け焦げた肺とで
瞼に皮下出血させよというのか
集まった蟻たちはいずれ
体腔の裂け目を満たすだろう
恩寵のともしびは
草食のへびを見て見ぬふりをする
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