お知らせ
枝豆を指で押す
次々と小人が出てくる
豆はどうしたのか聞くと
食べてしまった、と言って
好き勝手に言い訳をし始める
とりあえず並んでもらい
一人ずつ聞くことにする
話し終えた者は
窓を開けて静かに出ていく
話のほとんどは
出鱈目な気もするけれど
皆、誰かに
聞いて欲しいことがあるのだ
夜が更けても
小人たちの数はなかなか減らない
昨日の夕方
長年使っていた歩道橋の
撤去が始まる
というお知らせが
郵便受けに入っていた
それはきっと
寂しい話に違いなかった
コメント
一人ずつ、話を聞いている、作者の優しさ、気遣いを想ってみました。
歩道橋でなくとも、寂しいお知らせは、あちこちから舞い込んで、
それが社会をやわらかく惑わせているのかもしれません。
一袋みんな小人になってたのかなぁと、くすりとなりました。
実家の近くの歩道橋はまだ健在です。
あそこからは樽前が良く見えます。
次帰ったらわざわざ渡りに行ってきます。
@長谷川 忍
長谷川 忍さん、コメントありがとうございます。
社会をやわらかく惑わせている
胸にじんわりとくる一言いただきました。
日々、惑いながら今年の終わりを迎え、新しい年を迎えます。
@たちばなまこと
たちばなまことさん、コメントありがとうございます。これからの人口減少や高齢化、整備費用などを考えると、歩道橋はなくなっていく一方なんでしょうね。私の住んでいる街からもなくなりました。生活の一部でした。かえって特別な思い出が浮かばないほどに。