空蝉の詠みける詩
見上げれば
夕焼けの空
振り向けば
有明の月
ながむれば
火の手があがり
風吹けば
水面沸き立つ
空井戸の底に遊び
浅茅生の苫屋に住み
枯れ野の尾花に人を見る
ふと見れば
高天の原
暮れぬれば
法螺貝の音
埋めれば
世界樹の生い
夢見れば
うつつの刃
打ち寄する波に洗われ
仄照る陽に晒され
流麗なる事、川の如し
ただ憂愁の野辺に座し
紅の涙、白き頬を染む
月下、静として
虫は天に響く
我が心、未だ還らずして
果ては霧の中に没し
蓬莱の山望むべくもなし
コメント
ただ憂愁の野辺に座し
紅の涙、白き頬を染む
月下、静として
虫は天に響く
この4行、いいですね。現世と異界のあわいを想ってみました。
コメントありがとうございます。漢文調にしてみた一節です。幻想的な世界観に酔って頂ければ幸いです。
やっぱり漢詩の趣きがありますよね。
だからか読んでて、とくに口に出せば独特のリズムがあり、最後の感情も浮かぶ。
コメントありがとうございます。やはり会津八一の通り詩というのは口ずさんでこそ価値があると思います。そのときに如何に独創性を出せるかが大切ですよね。