存在証明
生き残るためならそんなことは必要ない
目立つこともなく嫌われるはずもない
華奢な体は戦闘タイプではないことはおれもわかっている
それはドラッグディーラーとて同じこと
そしておまえは言うのだろう
知らなかったと
いったい何のためのもの
いったい何のためのもの
叩かれて壁にはりつく
誰かが作った作った常識と同じように風に吹かれて落ちる
そして終わり
それでよかったのか
こっそりとおれの血を盗んで生き延びるだけでなく
ひっそりと満腹になって逃げ延びることを潔しとせず
こんなに絶大なカユミを残して
なんだかわかるぜ
おまえの存在証明の叫び
なんだかわかるぜ
おまえの存在証明の叫び
コメント
すごくハードボイルドな作品なのかと思いきや、「蚊かよ!」とついツッコんでしまいました。いや、それでもハードボイルドではあるけれども。オレはとにかく刺されやすい体質なので蚊には憎しみしかありません。奴の存在証明なんてわかりたくもないです…。
トノモトさん、そうなんす、蚊かよ!の詩なんす。最後にぷくぅ〜っと腫れてる感じっす。腫れもせず、痒みもなかったら良かったのにねぇ。
夜中に耳元であの不快な音をたてなければ、ちっとくらい血をくれてやるんだけどな。あの存在のアピールがなあ。
いややっぱ痒いのは嫌か。
蚊の存在意義は、人間の天敵なんじゃないでしょうか。人間の天敵は人間かと思っていましたが、人間は2番(年間40万殺人)で蚊が1番(年間75万殺人)だそうですね。ウイルスを蚊から分けてカウントすればウイルスの圧勝でしょうが。
私も、読み始めた時、ハードボイルドを想定したのですが…。でも、最終連を読むと、やっぱりハードボイルドですよね。おまえの存在証明の叫び!
王殺しさん、確かに後から痒いのも嫌ですが、寝てる時の耳元の音もかなり嫌ですね〜。ゾッとしてきました。
たかぼさん、ホント、ただ刺されたら痒いだけの虫じゃないぞ、というところが本来の存在証明なんでしょうね。
長谷川さん、半熟派ですが、時々ハードボイルドも悪かあないですかね。あくまでも結果としてのハードボイルドですが。やっぱり少しとろんとしてた方が何事も好みなんですがね〜。
病原菌を運ぶ蚊。その媒体としてのメディアのような役割。とても興味深い。神の意思を表すものとして蚊に目をつけるところは鋭い。ハイロウズっぽいですね。お互いに。詩の中にある情感。風を生命の強さを表す時に使う感じとか、僕の中にある8月的な力強さをあぶくもさんの詩にも感じました。狭いテーマ設定として『蚊』をコミック的に扱ったのでしょうが、僕は真剣に捉え、扱おうとする。その違いかも知れません。
@荒川濁流
さん、コメントありがとうございます。と言うか荒川濁流さんの詩の冒頭とあまりのシンクロ感からかテンションが上がって押し付けがましいコメントを残して失礼しました。同じ蚊から描く詩の違いや共感のきっかけができて何だか嬉しかったです。
あぶくもさんは、積極的に声がかけられ、真剣になり過ぎずコミカルなテイストがいいと思う。ネットでなにも出来ることを示さないまま、友達が欲しいと嘆く孤独者が多いけど、僕は誇り高い孤独です。あぶくもさんは、ユーモアを忘れてないから、繋がりも途絶えなさそう。そういう人に気が合うと言われたなら、やっぱり僕ただ友達いない人間じゃないよ、うん。才能ある人に結構褒められるし。嬉しいです!