3分の1がない世界で
3分の1は存在しない
目盛りで測るおれには
無限は存在しないと気づかされる
どこまで行っても3が続くなんて
宇宙にも端があるというのに
物質だって素粒子より小さくならないのに
自分を世界の構成単位として扱うのに慣れたおれは、いつしか
自分を単位にして世界を測りたがっている
おれは自ら無限を捨てている
測られる世界には無限を入れておく隙間はないね
無償の愛だっていつか使い果たしてしまう
目の前に3分の1はあるというのに
実際に掴もうとすれば割り切れたものしか手に入らない
例えば、正義と復讐と理想とかそんなものばかりで
正しさと正しさと無常では割り切れない
いっそ3進法にすればおれときみは割り切れない
どこかで混じりあっている、世界と
個別のものなどないのに手に入れようとすると目が眩んでしまう
Hello world
日の昇る処の天子から日の没する処のおれに書を致して欲しい
独立宣言を送ってきて欲しいんだよ
世界がおれから飛び立っていく
おれはそれを見送って、ようやく愛についての機械式思考を手に入れる
無償の愛とはつまり情熱だからさ、情熱は生きているからさ
つまり、死ぬよね
生より死を断然情熱的に語る不幸に酔った
だから、生と死、とかそんなものばかりで
また、おれはおれを測っている
分かる、より、分からない、ことの方を大切にしようとして
そして、おれは分けている、そして無限を失くしている
きらきらと光る粒子が空気を泳いでいる
視覚は記憶を測ろうとする
しかし
眠るきみに毛布をかけて、寝室を出るときのおれは無限を知っている
ありきたりと特別と寝息は割り切れない
きみが見ている夢とおれのため息と毛布は割り切れない
毎晩の無限
循環するおやすみ
コメント
以前、誰かも書いていたけど「喪失によって詩は生まれる」
のはその通り。偶然かさなる多々の喪失なんか気にせずに、
素粒子から外宇宙の手前までの「枠」のなかでの出来事の
なかで、如何に生きるかをその大切さを綴る領域の作品は
何年も詩を読み書きしているとスラスラと書けるスキルを
ある一定の方々は手にできるから、私もゼッケンさんも
ときどきはそのスキルの確認作業として落としていくことが
今後は良いのかもと最近思うに至っていたところでした。
ある意味、顧みて過去のゼッケン作品を思い出しましたよ。
ありがとうございます。
とても乾いた文体なのに
なんでしょう、この熱量、この熱さ
割り切れないからこそ愛おしい
そんなふうに受け取りました
やはりゼッケンさんの詩、好きですわ
この詩、ひいては、「おれ」もしくは、作者には、あふれ出る 愛を感じます。詩への愛とも言えるかもしれませんね。^^
分けると分かるはずだが分けても分けても分からない。足し算で分けるのか、掛け算で分けるのか。それでもなお割り切れないからか。
ひょっとしたら私はこの素晴らしい詩を読んで『円い世界』を書いたのだろうか。
と思ったら急に恥ずかしくなってしまったよ。
無限を失くすくらいなら、やっぱりずっと分からないままでいたいなぁ。
@足立らどみ
>如何に生きるかをその大切さを綴る領域の作品は
>何年も詩を読み書きしているとスラスラと書けるスキルを
>ある一定の方々は手にできる
亀の甲より年の功。しかし、スラスラとは書けてない。ゼッケンです。らどみさん、こんにちは。
これはこれで苦労してますぜ。
>私もゼッケンさんも
>ときどきはそのスキルの確認作業として落としていくことが
>今後は良いのかもと最近思うに至っていたところ
お、タイムリーな投稿ができたのかも。らどみさんとシンクロした様子。年明け初回ということで、初心忘るべからず、って、ふと思って投稿したんですが、これはどうやら私が受信してしまったのか?
@雨音陽炎
>とても乾いた文体なのに
>なんでしょう、この熱量、この熱さ
ハードボイルドだど。ゼッケンです。雨音さん、こんにちは。
>割り切れないからこそ愛おしい
割り切れない世界をそういうものでしょ、と割り切って生きている。これはこれでずいぶん楽に生きられるようになったんですけど、たまにね、そんな自分を苦く感じたり。そういうときこそ、ポエムチャンス! それ、詩に向かって現実から全力で逃走だ。逃走は闘争でもある。
@こしごえ
>作者には、あふれ出る 愛を感じます。詩への愛とも言えるかもしれませんね。
詩を愛し、詩に愛された男、ゼッケンです。こしごえさん、こんにちは。いきなりごめんなさい、ウソつきました。詩に愛されたは私の嘘です。詩については20年間、私の片思いですね。つまり、無償の愛、純愛です。いや、これもウソ。詩を書けるようになったら、ちやほやされるんじゃないかと期待してます。下心あり。
@あぶくも
>ひょっとしたら私はこの素晴らしい詩を読んで『円い世界』を書いたのだろうか。
ああ、ここにもシンクロした人がいる。あぶくもさん、こんにちは。ゼッケンです。これはもう量子もつれが私とあぶくもさんの間で働いたに違いない。まさに割り切れない。時間と空間は割り切れないし、物質と現象も割り切れない。さあ、ご一緒に! テレポート!