渋滞

誰もいない言葉
綴られただけの
八月の少年
薄色のかき氷が
風に消えていく
その飛沫

街のどこかに
沈没船が埋まっている
そんな噂が広まった
大小のスコップが売れて
大小の穴が掘られた
そうしていつしか
人は諦めて
飽きていく

トンボの囁きで目覚めた
八月のわたし
ゆっくり進む雨先の
ひとつの匂い
悪気はなかったけれど
手を伸ばすとうっかり
雲の渋滞に
触れてしまった

投稿者

コメント

  1. この詩の、どこを取っても、しんとした切なさに満ちていて、好きです。

    いろいろと渋滞しますよね。

  2. こんばんは。
    たもつさんの詩は、
    いつもサラサラしている印象です。

    ありがとうございます。

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