スプリングコート
乾いた音を鳴らし揺れる すすきの河原を分け入って
魚の背を探している
小さなミラーワークたち 水面を走る白と青
鶺鴒の尾を伝う物語りから 小麦の焼けた匂いがする
わたしたちは コートに付いたひっつきむしを毟り合う
このまま種を見守って 水を遣りつづけたら
草原になるだろう
見慣れた小さな黄色い花も 知らない草も
動物の種もそのままにして
日の当たる窓辺の椅子の背にかけて
右袖からはうさぎたち 左袖からは鳥たち
身頃からはひとの子たち
生えてきた皆をぶら下げて 賑やかに出かけようか
絵描きがその街角に花の人を描き加える
皆で覗き込むとはにかみながら
「春めいたコートですね 」と
コメント
私が尊敬する詩人が「詩は人である」と言い残しています。
詩そのものを愛してもいいし、詩を書く人や読む人を愛してもいいし、詩を取り巻くものを楽しんでもいいし。
私は欲張りなので全部です。
思うだけでなく実践しています。(惚気だな)
好きなものや好きな人を批判めいたことに触れさせたく無い性分です。
褒めて伸ばすタイプの人間関係に恵まれてきたので良いところを見つけるのも褒めるのも褒められるのも大好き。
そんなこんなで大好きな詩と詩を取り囲むあらゆる事象に、苦しみながら向き合うという選択肢はありません。
自分の詩を読んでくれる人のこと、もっと知りたくなるのです。だからお相手さんの詩をまた熟読して感想を述べたくなる。仲良くなれたら嬉しいから。
このサイトではそんな風にシンプルに行動しているだけというか、自然に楽しんでいます。
セキレイは水辺が好きだと言うから水面を走る白と青は彼らかな? その時に水がキラキラ光るのがミラーワークみたい。でも作者の生業から想像すると実際にミラーワークの生地を作ってそれで春のコートを作ったのかな? 袖口から出てくる動物たちはそういう刺繍なのかもしれない。まだ冬だけど、それを羽織って繰り出してみると街角で春の街を描く人に出会ったと。そんな風に、春の明るさと暖かさを予感しました。
ほんと にぎやかな感じが この詩からあふれ出ています。この詩は すてきなスプリングコートですね。^^
〈ひっつきむし〉をむしりとることは、なんと季節の永遠から来ることか、その実際の指の痛いと言う事の中に、わたしたちの偽ることのできない、自然とのかかわりがあるように、感ずるのです、それらの秋、それらの冬、そしてやはり永遠に感覚としての、季節が植物にも哺乳類にも、来るのです、それらは感覚です。
うさぎと鳥と子供たちをぶら下げて出かけるたちまこの図を想像して「重そうだな…」としょうもないことを考えました。
とても素敵ですね。
見たことのないはずのシーンが目の前を流れていくようでした。
最終連でまた新しい情景が浮かんで、
短編映画を見終えたときのような
素敵な気持ちになりました。
@たかぼ
さん。
たかぼせんせいに小説仕立てにして頂いたような心地です。素敵すぎる。ありがとうございます。(わくわくしちゃいました。)
無性に絵を描きたくなりました。
愛があふれてる。あたたかいです。
@こしごえ
さん。芽吹いたばかりのピヨピヨ感って明るくていいですよね。
元は冬のウールコートで、芽吹いたら春のコートになりました。
@坂本達雄
さん。拡く深く思い馳せてみると永遠、感じますね、ひっつきむし。
川の土手の舗装している道でさえ、彼らは手を伸ばしていて、小一時間散歩しただけでちくちくになります。今年、庭にも生えるかもしれません。
@トノモトショウ
さん。なんとかわいいコメントー!ってなりました。
そういう意匠のコートはコレクションラインにはありそうですね。
だから肩凝りが治らないんだろうなぁ。
@草野まこと
さん。
とてもやさしい雰囲気の言葉でコメントくださりありがとうございます。
月並みな言い回しですが癒されました。
短編小説、短編映画にはチャレンジしたい気持ちがあります。(つくる方)
@あまね
さん。(さん?)
ありがとー。これでも愛情は深いんですよ。
@サーラ
さん
コメントありがとうございます。
種を上手に育てたら草原を作れますよね!
絵描きがその街角に花の人を描き加える
この絵描きさんの存在が、詩人の役割なのかな、などと読後思ってみました。私も、花の人を描き加えてみたい。…さり気なく、気づかれないように。
先週つくづく感じたんですけどぉ外を歩かなければいいモノは書けないなーと、そして苦手だけど人付き合いも対話も大切だなーと、花鳥風月、森羅万象、諸行無常、寝床の中でも詩は書けるけども、僕としては炎天下で川のほとりで町のベンチで言葉の繋がりを考えていきたいよねーなに謂ってんだかわからなくなりましたが、(僕は褒められて伸びるタイプです)ありがとうございました。
@長谷川 忍
さん。
そこに着目してくださり嬉しいです。
ひっつきむしと、花の人を書き加える絵描きが別々のテキストで書きかけていて、ふと繋がりました。
最近絵描きをやっていないのでやりたくなりました。
@三明十種
さん。
わかるぅーな気持ちです。
自分語りになっちゃうんですけど、詩も絵もファッションも対話の一環で、その他の要素も沢山あってですね、まあ、好きなんです、詩を書くのも好みの人の詩を読むのも。
未明さんの詩やこういう場所での言い回しも好きです!きっとお人柄が素敵なんだろうなぁ。(褒め)
(三明さんて前のぽえ会の時も同じ名前でしたか?下のお名前の方をカタカナかローマ字表記でしたか?)
@たちばなまこと
前のぽえ会のときは、中ナントカだか、ナントカ村さんだか、そんな名前だったよ。
@トノモトショウ
さん。
やっぱそうか!
(ありがとう!)
あ、セキレイだ!と読み始めから惹きつけられました。
たちばなさんの言葉はいつも柔らかな光を帯びています。
最近、まったく書けていないので、冒頭のコメントはとても沁みました。
書けない時は読めない時でもあるので、感想も覚束なくてすみません。
僕は一連目で、水面のキラキラやかけまわる子供たちを思い浮かべました(ミラーワーク、はじめて知りました)。
二連目では、
右袖からうさぎたち
とあって、昔飼育係をしていて、子うさぎを袖の中に招こうと追いかけてしまったことがあって(いい迷惑!)。
でも、袖から生えているんですよね!
なんだか一緒に散歩したり繋がりを感じます。
樹木になったよう。
そして三連目の、絵描きの視点と交じりあうような感覚。
世界がさらに広がるように感じます。
出遅れたがちな最近が故に、みなさんのコメントもしっかり読めて、
いろんなものが溢れててミラーワークに泣けてきた。
鶺鴒もたちまこさんも北の大地から南下してきたんだろか。
@nonya
さん。セキレイ大好きなんですよねー。小走りした後急ブレーキして尾を上下させて首を傾げてピッピするところ。
nonyaさんとは某会で直接お話し出来るので勝手に優越感を持っています。
写真を撮ることも詩的とおもいます。
@ぺけねこ
さん。産むまでは別に子どもは特に好きでは無く(大体道で群れてる子はうるさいし、大人と話す方が好きだったし)。
今は小さい子見ると骨抜きにされるようになり、なんか予定と違いました。
小さきもの達とわいわい街に出かけたら楽しいだろうなーと思いました。
心をやさしく撫でるようなコメントありがとうございます。
@あぶくも
さん。あぶくもさんがいらっしゃると嬉しいこの会です。
コメントにはその詩人らしさが溢れるのでこうして読めるのは幸せです。
(一連のなんだかんだも読まれましたか?)機会を頂いてしまったとも捉えられるのでちよっと楽しかったかもー。
関東に居着いていますが北にもたまには帰ります。
@三明十種
さん、未明さんじゃない!やだー。
変換ミスごめんなさい。
@たちばなまこと さん
ええのよーええのよー