アクトス・ゼロ

アクトス・ゼロ

北京の空に(それはこの国の空と連続しているもの)龍が延々と飛んでいる様子が、わたしの第三の眼で確認されるのである。そしてとても奇妙なことであるのだが、その龍の尻尾のあたりは巨大な洞窟へと伸びているのである。あくまで君のにきびのあとのように見えているものは、たぶんにこの龍の背中に生えている高層ビル群の影が大地に負荷された電流の一部としての明解であるスマイルとともにあるもの。君がそれを我が手の内に握りしめて、さらには〈どすぐろい満月の子ら〉として飼育し、そして何度も〈ひらてうちをして〉教育したのだと言う時には。君はもう完全に〈いかれている〉と表現される塔の内部のいきものである。そしてこのわたしもその塔に足をふみいれて、階段の一部にかざられた〈絵画〉の価値について妻であるこのひとりの少女とともに。確認する為にひと段づつの食事の用意をしてほしいのであるが。けれどもわたしの指示するこの北京料理のダックは、みすぼらしい男が店に来て〈かごごと〉置いて行ったのだと言うから。色とりどりの羽をむしりながら、わたしの少女はにこやかに爪を立てて、さらなる平行戦線、さらには抵抗戦線、そして北京戦線からの離脱と言うまやかしの一部として。小鳥の声でにこやかにシンバルを叩きながら、はやしたてて、はやしながら、服をぬがして、そしてその胸を・・・。北京の空には(たぶんその空はわたしの頭上の空と同じ色)このような悲しみの少女が『龍となって』。 飛んでいるのだ。

投稿者

岡山県

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