月の残り香
月の君
今は逢いたい
逢えたなら別れたい
今に逢えなくなる
君に逢うためなら
指を絡めたりしない
埋め込み型のアッパーライト
19時のスニーカー
疑いもせず踏み去る彼らの明滅が
白い刹那であったなら
月の君の手紙
目を落としたことばから儚く散って
満ちたり欠けたり
消えてしまったり
君の得意な仕草で
君に合わせて瞳を捉えては逸らす
赤い朝にくずおれて
6時半のファンデーションが
下腹部を握られた重い痛みであるように
必然の営みにくちづける
月の残り香
祝日前夜の神宮で
長い参道に撒かれた形代を
指を絡めて拾い集めて
互いのふくらみをよろこび合う
つづきは屋根の下で
コメント
ほとばしるエロさがあるなあ。
互いを思い合う おだやかなエロさですかね♪☆^^
@トノモトショウ
さん。ありがとうございます。
隠しきれないエロスがあるかー。
@こしごえ
さん。ありがとうございます。
月の君は複数でそのうちのひとつは共にあります。その他はほぼ毎月訪れて失っていきます。
艶っぽい詩ですね。でも、ぎりぎり、それを抑えているところもあって、そこに魅力を覚えました。二連目と四連目、五連目が、効いています。
疑いもせず踏み去る彼らの明滅が
白い刹那であったなら
長い参道に撒かれた形代を
指を絡めて拾い集めて
互いのふくらみをよろこび合う
@長谷川 忍
さん。ありがとうございます。
時折意味を重ねた詩を書きたくなります。
引用してくださった詩行はそれぞれ渋谷と明治神宮から浮かんだものです。
女性性が身体的にも情感たっぷりに表現されていて、また寸止め感がお上手で、坊やたちはドキドキして破裂してしまいそうですね。
女性ならではの視点でありつつ、それを超えてくるのがたちまこワールド。
何度も読み返しました。この詩、好き!
@あぶくも
さん。ありがとうございます。
めっちゃ気の利いたコメントで「ウケる〜」となりました。(センスが良い!)
年齢的に月の在り方が不安定になります。
束の間の月が去ったら唯一の月と戯れたいです。
@あまね
さん。ありがとうございます。
毎度月に翻弄されますが、訪れないと心配になります。
私は『薬屋のひとりごと』原作勢ですが、J様が “月の君” と呼ばれているのも織り込んだりして遊んでいます。
人によっては月はつらいものですが、無くなったら無くなったでそれは残念なものだったり、ある人にとっては困ったことだったり、またできれば多くの人にとって祝福であるでしょう。
@たかぼ
さん。ありがとうございます。
月がフェイドアウトの兆しを見せてきているのか訪問が随分と遅かったので二つの可能性を思い浮かべました。
自分も月が運んでくれた祝福のひとつなのですよね。
コメント失礼します。
ぼくは、夢と現をいったりきたりなイメージが浮かびました(どちらも夢であり現なのかも)。
日本の昔話のイメージと重ねて想像が満ち欠けし、摩訶不思議さがふくらむような心地でした。
@ぺけねこ
さん。ありがとうございます。
いつも素敵に読んでくださって心から嬉しいです。
遡ると地球で最初の生命の誕生の不思議を思います。考え始めるとどつぼにはまります。