土砂降り
駅前は
真黒いインクのような
生乾きの匂いと
世界がひとつの
巨大な塊だったかのような
土砂降りの雨
こんな浅い夜の中に
自分であるということ
幸い人はまばらで
表情は翳って見えない
薄暗いことと
降り続いていることは似ていて
蒸し暑いことと
終わりがないことも殆どおなじもの
似たものばかりが
人気のない駅前を作っているのに
その中に何にも似ることができない
自分というものがある
眩しいものを追いかけてきたのに
行き着くところは薄暗く
(人生が他者の要求に応じることでないのなら
他に何でありえるだろう
自分自身を見つめれば
見つめるほどに気づくのだ
自分自身の要求などというものは
初めからどこにもなかったのだと
人生とは他者の要求に応じることなのだ
どこまで行ったとしても)
駅前は
真黒いインクのような
生乾きの匂いと
世界がひとつの
巨大な塊だったかのような
土砂降りの雨
こんな浅い夜の中に
自分であるということ
(もしも動いているものが
何もなかったら
その中で動いていることは
どれほど素敵だっただろう
もしも止まっているものが
何もなかったら
その中で止まっていることは
どれほど素敵だっただろう)
幸い人はまばらで
表情は翳って見えない
薄暗いことと
降り続いていることは似ていて
蒸し暑いことと
終わりがないことも殆どおなじもの
似たものばかりが
人気のない駅前を作っているのに
その中に何にも似ることができない
自分というものがある
眩しいものを追いかけてきたのに
行き着くところは薄暗く
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