エスエス橋の上で
夢の中で道に迷うと目覚めなくなるって本当?
って彼女が訊くので
ルルルと笑ってごまかした
蓋し彼女の顔に見覚えがあるのは確かだ
しかし果たしてそれが
そうです
シスチンとシスチンを結ぶ
エスエス橋の上で僕たちは出会った
やいなや
耳元に彼女のささやき
アイシテルナラキスシテ
なんてあたりまえである
なんて言っちゃって
暗くなっちゃって
あたりは一面
あたりである
【 解説 】
SS結合(disulfide bonds)はcysteine同士の結合によって形成され、タンパク質の形状を保つものである。SS結合を切断すると糖鎖が変化することを私は突き止めて論文にしたが(Glycoconjugate Journal volume 14, 1997)まだノーベル医学生理学賞は頂いていない。
エスエス橋はシスチン同士の間にあり、私たちの愛の形状を保つものである。エスエス橋を渡ると気持ちが変化することを私は突き止めて詩にしたが、まだノーベル文学賞は頂いていない。
コメント
ジスルフィド 高 架橋 あたりでたかぼさん、奥さんにそうくどかれたんじゃない?え、あたり?
SimpleでSurrealな作品でしたが、結合を分断してパーマネントウェーブをかける、とかどうもScienceは苦手です僕。あ、ケミストリーか。
王殺しさんコメントありがとうございます! 妻とは、まあいいか、もっと雑なところで鮮烈な出会いをしました笑。
昨日ワクチンを打ちました、白衣を着た方先生に、面談していただき、また別の白衣の方に注射を打たれるだけですがどちらも女性でした。何故かチクリとも感じませんでしたが、自分の遺伝子に女性の方の手で、なにかが、入れられたんだと思うと、あとになって熱が出ても痛んでも、いい夢になるのかな?って勝手に妄想してる自分がいました。感想書くつもりがただたの報告になってしまいました。すみません。
ルルル、という笑い声が、この詩を拝読して以来、脳裡から離れません。私の夢の中にも登場しそうだな。ルルル…。
timoleonさんの感性は面白いですね。面白いってのは詩人としてってことですけど。つまりその感性が詩だなって。「自分の遺伝子に女性の手で何かが入れられた」って面白い詩です。日々の出来事を詩として感じ取ることができれば世の中もう少し楽しくなりそうです。コメントありがとうございました。
長谷川忍さん、ツボです。コメントありがとうございました!
改行ごとに転調する感じが、予想外に手を握られたようで目を白黒させてしまいます。
私は解説を読むと余計にわからなくなります。
たちばなまこと/mikaさんコメントありがとうございます! 目を白黒させていだだけて光栄です。【解説】はお遊びです。鼻で笑って頂ければ幸いです(笑