映画『マイル22』『サスペクト 薄氷の狂気』『悪人伝』『サンクスギビング』『オールド・リベンジ』『タイムボム 爆弾解除、ミスしたら即死。』『インプランテッド AI暴走』『ブラック・ボックス』『アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド』感想詩
先月末から映画ばっかり観てるけど感想文が全然追いつかない。
一言感想を関連させながらじゃんじゃん書いてみよう。
以下、紹介する映画はネタバレもありで書くので、知りたくない人は予告映像から映画へGo。
『マイル22』
米の特殊部隊対ロシア連邦保安庁+スパイの戦い。二転三転して最初のシーンが関連するオチなど映画の作りはよいものだと思ったんだけど、もうひとつ分かりにくいのと、騙されたことに驚く、あるいはすっきりするという感想はもてなかった。
主人公のシルバはめちゃ優秀だけどめちゃ嫌な奴なのは面白かった。ミスを犯してはならない部隊とはいえ、優れた自分の能力を相手にも求めるしんどさがある。
『サスペクト 薄氷の狂気』
女性を誘拐し殺す連続殺人犯を追う刑事と、独自に犯罪者を裁く活動をしている男女二人組がメインの物語。サイコパスな犯人が出てくるものの、彼がなぜ犯罪を犯すのか、どういう人物なのかといったことを追う物語ではない。おとり捜査的手法で男女二人組がパパ活をしている男を騙して、睾丸摘出の罰を与えるところは驚いた。『ドラゴン・タトゥーの女』を思い出した。
▼44:50(劇中台詞引用。以下同)
奴らは一匹狼のようで本心は違う
同志がいると知って安心するんだ
▼46:30
人食いライオンを捕まえて二度とやるなと言い含める
10年後 解放したら?
犯罪者は動物か?
動物もいる
性犯罪者の8割が再犯する
それを知りながら社会に戻す
犯罪に走る本能を強制しない限りな
どんな理由にせよ――
罪を犯す前に取り締まるのは危険だ
人種差別や偏見を助長する
人種差別は関係ない
問題は頭の中の声だ
それが“やれ”とそそのかす
『悪人伝』
こちらもサイコパスな犯人がでてくるものの、彼の生涯を追うものではない。こちらは刑事とヤクザが手を組むというもの。プラスしてヤクザの中での縄張り・権利争いがある。
『サスペクト 薄氷の狂気』『悪人伝』の展開はどちらも同じ印象を受けたけど、観終わったあとの感想は違った。どちらも、逃げる犯人に都合がよすぎるのと、追う側がまぬけなことがあった。そうしないと話が続けられなくなるんだけど、しらけるところはある。しかしオチについては、『サスペクト 薄氷の狂気』はすっきりせず、『悪人伝』はすっきりするという違いがあった。非情な殺人をした犯人には苦痛を与えてほしいと思ってしまうヒトの感情の難しさかな。
『サンクスギビング』
群衆の無茶な行動により死人のでる事故が起き、その復讐をする殺人鬼の話。殺人鬼は事故の復讐者であることは分かっているものの誰かは判らず、つぎつぎと事故の原因を作った人物たちが殺されていく。『ファイナルデスティネーション』のようなエグい映像・殺し方がでてくる。
父親役で出てる俳優リック・ホフマンを見たことのある俳優だと調べると『ホステル』に出てた人だった。
『オールド・リベンジ』
アメリカ人の老夫婦が、父の戦友からの遺言でフランスの田舎町にある一軒家を譲り受けた。相続する条件は一年間そこに住むこと。夫婦はそこに移り住むのだが、その町には集団でつるんで老人や弱いものに悪さをする若者たちがおり、アメリカ人夫婦も攻撃対象となる。嫌がらせを受けた夫婦が警察に連絡するものの取り合ってもらえず、エスカレートする若者の嫌がらせに老夫婦が反撃する。若者の嫌がらせの性質が悪すぎて胸糞は悪くなるが、逆襲にすっきりする展開ではなかった。
かなり極端ではあるけど、これはフランスの現状を皮肉った作品なのかなと感じた。弱いものにだけ嫌がらせをする若者が町にはびこり、そいつらと警察とはつながっていて役に立たず、老人たちは怯えて暮らしている。嫌な世の中だ。
『タイムボム 爆弾解除、ミスしたら即死。』
パリの駐車場で車に乗り込んだ家族(母と息子と彼氏の娘)が、エンジンをかけた瞬間にモニターが現れカウントを始めた。地雷の専門家である母ソニアは危険を察知し、仲間の応援を呼ぶ。そして車に仕掛けられた地雷を解除する話。
タイムカウントと、重量変化により爆発する装置のため、車からは誰も降りられない。仲間がかけつけ時限装置を解除し、重量感知もどうにかしようとする展開とともに、ソニアの務める会社の地雷がウクライナでどういう悲劇を起こしていたのかが分かるようになっていく。この爆弾を仕掛けたのは誰なのか。なぜソニアを殺そうとするのか。
この映画で面白かったのは、地雷を売ったから、仕掛けたから、除去したから恨まれたのではなかったところだっだ。地雷があったがゆえに敵の襲撃から安全を保てていた場所・学校から、悪意なく地雷を撤去した結果、そこが敵に襲われ多くの人(子供)が殺されたことが分かる。地雷というのは、埋まっているところが分かる側からすると防御壁になるということ。ウクライナとロシアの戦争の実情はどうなんやろね。なにが恨みを買う行為になるのか分からない難しさを感じる映画だった。
個人の権利・扱い・贔屓を見れたところも面白かった。車にいる四人(三人の他にソニアの同僚男性がいた)の誰か一人を救えるとき、私の感覚では、子供>女>男になるので助けるのはゾアからで当たり前なのだが、実際の命がかかるとき、ノアが文句を言うのも分かる。
『インプランテッド AI暴走』
自分の身体にマイクロチップを埋め込む手術(お金をもらえる)を受けた女性サラが主人公。以前観た『アップグレード』(めっちゃ面白い)と同じ内容かと思いきや、かなり早い段階で、埋め込まれたチップ・AIの暴走がはじまり、『アップグレード』のその先を見れたような気持ちになる。1:14分からの展開も驚かされた。ただし、このタイプの物語の最後はこうなるしかないよなあという感想は持った。ヒトは贅沢なものだ。
『ブラック・ボックス』
事故で妻を亡くし、自分も記憶喪失になった男ノーランが主人公。娘エヴァのことは認識しているが、過去の写真や動画を見てもどこかしっくりこないことを悩み、記憶を取り戻せるという催眠術的な手術を受けることにする。この手術を受けるとノーランが過去にした経験(結婚や子供の赤子時代)の疑似体験をするのだが、そこに出てくる人々には顔がなく、さらに出てくる化け物に襲われそうになる。彼らの顔を見つけ出し、化け物に打ち勝つことが記憶を取り戻すことだと医師に告げられ戦うとやがて……
母の怖さと言う意味で『バース/リバース』を思い出した。創作物でしか見ることのない話だが、子を死なせないという状況になったとき、父より母のほうが怖くなるように私は思う。そして母自身も死なない。自分の命について、父や男はどこかで諦める場合があるが、哺乳類であるヒトの母は、自分の死が赤子の死にもつながってしまうことを本能として知っている。なので、生きることに執着する力は母の方があると私は考える。一応書いておくが、これは良し悪しのことではない。
『アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド』
『A.I.』に出てきたジゴロ・ジョーのスピンオフはこんなところにあったのか、と思わせる内容だった。
研究資金目的でアンドロイドと付き合う実験に参加する女性学者アルマが主人公。付き合う相手であるアンドロイド・トムは彼女を幸せにするためにプログラムを作られており、さらに学習もするのだが、それらの行為は機械の計算により作られたものと考えるアルマは彼の言動を拒絶する。しかしやがて……
ジゴロ・ジョーもだけど、このアンドロイドが実現したら生身の男(女も)は勝てないね。いまのAIもその危険性は十分あるけど、何を言われても怒らず、しかし彼女のためを思う行動はし続ける。さらに計算や持ってる情報量は人のそれをはるかに凌ぎ、間違いもない、いわば完璧な相手となる。けれど、その完璧さを見せられればられるほど、自分に嫌気がさす危険性は高くなる。この物語にもそういう面がでてくる。
鹿の群れとトムのシーンを見ながら、自分と似ているところがあると感じた。完璧を気取るつもりはないが、なんか共感した。
この映画にでてくるサンドラ・ヒュラーをめっちゃ覚えてる顔だと思ったら、『落下の解剖学』に出てる女優だった。一度見ただけで顔を覚えるタイプというのがあるね。
コメント
俺はこの前、Mondaysっていう邦画をみて、面白かったですわ
あと
ラン・ライド・ファイトっていう映画も面白かったです!
@那津na2さんへ
映画紹介ありがとう!