絶壁ダンスフロア
妄想体質の子供たちは背後に迫る空に気付きもせず 裏
ハレーションでぼやけた身体を上手に混ぜ合わせる 々
上下左右を彩るセロファンの誘惑を躱すことより の
内部で沸き立つ不自然なビートの言い訳を求めた 采
何故なら僕らの由々しき問題は四次元を貫いて 配
自由落下と生命線の局部に散らばっているから
メランコリアを嘆く主義者は見上げるだけさ ↓
高温多湿/低音加速でエネルギーを捻り出し
数センチの浮遊や不穏な進化論で昇天する 時
という冗談を冗談にするのが上等な冗談だ 々
つまり柔らかいステップが必要ってこと は
つまり下らない美意識は捨てろってこと 発
互いの知覚を揺らす熱は唇までが限界 射
アイとアイの矛盾を責め立てるほどに
絶対運命・ダンス・ダンス・ダンス ↓
スリリングな快感を得るための秘訣は
幸福の兆候を綺麗に見逃すことである 底
彼らは新時代を言葉巧みに騙そうとして 々
点から点へ移動する方法を隠してしまう の
無駄なやり取りをする余裕があれば別だが 絶
もちろんこのグルーヴの暴走は止まらない 望
果たして無から有へ解放される繊細な結晶は
濁った水の中でさえも発光できる条件を得た ↓
あらゆる否定を許された唯一のイミテーション
新しい色がターンテーブルの回転を待っている 散
もうすぐオーバー・ドライヴの空間が積み上がり 々
我を忘れて踊り狂う僕らの覚悟が見えてくるはず な
感受性を放棄したばかりの世に反射すれば計画通り 結
それ以外に素敵な革命が存在するとでも言うのか? 末
[TONOMOTOSHO Rebirth Project No.037: Title by アオ]
コメント
起承転結、時(月)の満ち欠け、チャーリー・ワッツのビートのようなやたらうねるグルーヴ、まず第一印象は視覚と言葉のうねり。
スタイリッシュで加速力があり、しかも絶壁で我を忘れてのダンスとなればスリルたっぷりだ。
しかもそれが散々な結末だというのだからたまらない。
この詩を繰り返し読みましたが、正直なところ、この詩の全体像を把握することは私にはできません、拝礼 。
しかし、この詩を読み進めている最中に言葉の流れの心地好い緊張感などを感じます。これは、絶壁ダンスフロアというタイトルの通りに、絶壁ダンスフロアでダンスをしているということをこの詩がうまく作用させているからではないでしょうか。
そして、このページの右側のタテの一行(絶壁)と、詩本文が連動しているのでしょうね。この詩の内容と美しい姿が絶壁ダンスフロアとして構成されているのだろうと思います。ある意味、この詩は高次元の作品なのだと感じます。
トノモトさん、このような詩を読むことができる機会を与えてくださいまして、ありがとうございます。
トノモトさんの作品はいつも現代詩の可能性を感じさせてくれますね。コンテンポラリーポエムはコンテンポラリーアートの一つなんだと思わされます。トノモトさんは嫌がるかもしれませんが、この作品を印刷して額に入れて美術館に飾ってみたいと思いました。
他の方の詩にも言える場合もありますが、ああこれはトノモトさんの詩だな〜って思えるスタイルや言語感覚が際立っている様はとても羨ましく感じます。
イメージを喚起する言葉がテンポよく書き連ねられているのがやっぱりカッコいいですね。
語感がここちよいです。
クラブというよりディスコ全盛期、センスとして許容された時代の“良さ”みたいなものを思い浮かべました。
ヘヴィメタみたいに密度が濃いぃぃ、最後の着地?が美しかった。