ストリート・フラッシュ──街角の幽霊
それは、思わず気を失うほどの雪の吹きだまり。──いや、光の吹きだまりであるのか。白色光の一色のなかに、世界の半透明の「真髄」のような幽霊が立ち並ぶ。200mも行けば次の幽霊に出会える……。一人に触れ、もう一人に触れる。胸と腕とをすり抜けていくようだ。皆、きっと缶蹴り遊びに興じているのだろう、きっと。……当然観客などはなく、歓声もきこえない。これは、総合格闘技(プライド)の試合ではないのだ。幽霊たちは、戦っているのではない、わたしたちも彼らと戦わない。ただただ無限まで続く、ドミノのように、数列のように、淡いひかりとして彼らは街路につらなってゆく。そして倒れる──<舗道>は、一個の<黄泉>になるのだ。桜の落ち葉が、すべてを消すための鎮魂歌(レクイエム)として、降ってくる。まだ誰も気づかない、なぜなら今はまだ午後の一瞬であり(2時を過ぎたばかりだ)、戦慄はただの冷たい錯誤の<起こり>として引き継がれていくのだから……。
これも一個の音楽。古代には<魚>が、クリストの象徴であったとか。
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