青空の続き

椅子の背もたれに届く
夏の小さな雑音
子供になった父は
昆虫採集に出掛けたまま
帰ってくることはなかった
大事にしていた許可証が
風に飛ばされて
どこか遠くの海溝に
沈んでいく様子が
ここからでも見えた
早く帰っておいで、と
布団から出た父の肩を擦る
薄く開いた口元から
青空の続きがこぼれる

投稿者

コメント

  1. 何だか1篇の絵葉書のような、はたまた短編映画の始まりのような。めちゃくちゃ映像が鮮やかで、その映像にさまざまな感情が色濃く乗っかっている言葉たちでした。改めて言葉の持つ力ってすごいなって感じさせられました。

  2. @ザイチ
    ザイチさん、コメントありがとうございます。私の言葉の力など弱々しいですが、けれど、ザイチさんがおっしゃるとおり、詩に限らず、他の方が書いたものを読むと、言葉って、凄いなと思います。今日も一日、たくさん言葉を使ってきます。

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