散歩

散歩

手についた石鹸の香り
マスクをつけて
行ってきます

誰ともすれ違わない通り
住宅街
側溝から出てきた草花
なぜか美しく
強く生きているって思った

手を広げれば満ちた
そよ風が、雨が
アスファルトに立つ自分を
浮き彫りにして
ただ抱き合えば知った
孤独が、退屈が
この地球の中の自分という
いのちを知らせる

薄切れのパイ
疲れ果てた弁証法
美しく踊る二人を
見つめる一眼レフ 

この世は契機に溢れているのに
私は明日もここを通る
同じことを思う

耳をすませば満ちた
小鳥が、花が
明日を目指す僕らを
かわいらしいものにして
ただ触れ合えば知った
温度が、痛みが
この時代の中の僕らという
いのちを知らせる

忘れて、揺らいで、思い出して
その度にいのちを知る
手を繋いで、放して、また結んで
僕らは歩いていく

投稿者

東京都

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