戦争の映画の
一輪の花がこちらを見ている
風に揺られる髪は綺麗
瞳に沈む世界を掘り起こす
愛人が死ぬ、家族が死ぬ
戦争を嫌う
言い出せない秘密と銃を背負って
塹壕に身を投げ出す
血を涙を心を流す
赤ん坊が生まれる、息子が死ぬ
未来を残さず
声を残さず
悲しまずに褒めてよと言われたとて
あの頃、死んでいなかったら今もこの手に寝ているんだろう
今も、母の味が胃に流れ着くのだろう
温かい味噌汁を一杯も飲ませてやれなかった
肋骨が浮き出た子供が爆弾を投げる
一輪の花があちらを見る
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