ネズミ男18皇居侵入
ネズミ男は皇居に忍び込んだ
やはり陛下に直接お願いすべきだと
カリカリ梅片手に決意していた
乾門の隙間をすり抜け
松の廊下を全力でスキップ
警備の目を盗むには
足音が逆にリズムになることを
ネズミ男は知っていた
陛下に渡す書状の内容は
①カラスにも戸籍をください
②神道にユーモア枠を
③アナンヌキと人類の約束の公開
とにかく斬新な提案だった
玉座の間に着いたとき
陛下はいなかったが
歴代の御真影が
パラパラと舞っていた
ネズミ男は正座して
深々と一礼
すべての祈りは
正式ルートじゃ
届かないことがあるんです
と申し上げた
その夜
皇居に謎の
カリカリ梅の香りが漂い
次の朝
朝刊には小さく載った
宮内庁 夜間にネズミの影を確認
被害はなく
梅干しの匂いのみ残る
公安はネズミ男の行方を
全力で捜査中
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