弔い

花が笑っていた
紅色、蒼色、黄色に紫
蜜蜂が一匹飛んでいた
風はさわさわと音を立てた
華やかな香りは生前葬の賑やかし
土のミミズが声を出す
踏んだ青草が鼻をツンと刺激した
不思議と鳥はいなかった

目を閉じて、裏に焼き付く銀河を見て、その内ヴォイドの網目に遡り、光子の暴れる世界、世界が反転して

縮尺が巻き戻る
くらりと視界が目眩く
斑点が視界で踊る

花は、相変わらず笑っていた
ぐおんぐおんと飛行機の通る音がした
生暖かい二酸化炭素を吐く
ゆるりと揺蕩う雲を見る
今夜は雨が降るらしい

無機質な画面を思い出した
関係のない人が話していた
僕には過ぎたことだった
風が一層吹き付ける
徐々に灰色の雲が来る
僕には鮮やか過ぎてしまった

一瞥してからリニアに乗り込んだ
ここには二度と来ないだろう

投稿者

千葉県

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