ミトラ

畳んだ洗濯物の隙間から
君が(あなたが?)こちらを見てる

生まれたての赤ん坊だと
だれかもいった

良かった
ひるこだなんて言われなくて

種を明かせば誰も看取らなかっただけの死体
ミトラはきっと看取らなかったのミトラ

テストで良い点を取っても
料理を作っても

夜寝ても
朝起きても

ご飯を食べても
怒鳴られた

一度だって生きてきたことを
認めて貰ったことがない

だからいつまでも
神にさえなれないひるこ

一度だって洗濯物を畳んだことを
誉められたことがない

当たり前だから
出来なかったら死ねばいい

ひるこひるこ
鬼にさえなりきれずに流される

何をしてもそうだ
目さえ合わない

嬉しそうな
あなた(君?)の

その目に映ったのがなんなのか
私はきっと来世まで分からない

それでもいいの
二度とは戻れないところにあなたもいる

愛をちらつかせて
心をひけらかして

それでもわたし
きっともうここから何処へも行けない

最初から分かってた
死んでもどうせ誰も気付かない

それでもいいの
一人で死んでいくよりは

畳んだ洗濯物の隙間から
あなたが見てる

投稿者

神奈川県

コメント

  1. 死について語るとても悲しい作品なのに
    カタカナ3文字のタイトルが光明を差し
    そこはかとなく深いところで生命のこと
    肯定しているところもあるようにおもう。
     
    しかし平仮名3文字のひるこが底で足を
    引っ張っている。不思議な構造の品です。
    わたしの名前をらどみにせざるを得ない
    あの頃を甦らしてくださり感謝致します

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