28回の幸福

・日常とは、要するに全てAIの指示を受けている。

・挨拶、仕事、食事、就寝、全てが合理的、論理的世界に生きている。

・勿論、生まれた時からだ、疑う必要もない。

・朝の挨拶は、腕立て伏せ28回をしてから、ケコケリリリィ、と東に向かって叫ぶ。

・この28回は、凄く意味があるらしくて、咀嚼とか、逆立ちをしてから左耳を押さえる(求婚する)動作も28回だ。

・言っちゃいけない数字もある、256って、もし言えば、床に穴が開いて戻ってこれない。

・僕は、もの凄く幸せだ、何故ならAIが、そう言えっと命じられているからだ。

・あちこちに人間の死体が、いわゆる虫に食べられて、嫌な臭いを出している。

・それでも僕は平気だ、何故なら、腹筋を28回して、ゴキイイゲンポーと言えば、死体にならなくて済む。

・これを教えてくれたスーザン、赤毛の女の子は、腹筋が一回足らずで床に吸い込まれた。

・AIが言うには、僕が最後の人間だって。

・だから、僕は、誇りを持って、ケコケリリリィと叫ぶんだよ。

・ああ、僕は幸せだ。

投稿者

大阪府

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