秋のおもてなし

長椅子に腰掛け窓を見る
外では祭りがお開きに

はしゃぎ疲れた夏の妖精は
ふかふかのベッドにダイブする

お腹を出して寝ている坊やに
やれやれと布団を掛け直す

ちょうど今日の新聞を読み終えた
ぼちぼち散歩に出かけよう

秋の紳士は
銀杏色の蝶ネクタイと
紅葉色の手袋はめて
深緑のハットを被り
先の曲がった木目調の杖を片手に
街へ出た

首元から金木犀の香りが華やぐ
風に乗って街全体を包み込む
隣の隣の街まで包み込む

紳士の歩いた軌跡には
木の実や木の子がずらりと整列

空見上げれば
柿梨葡萄がアーチを成して
紳士の散歩を後押しする

テーブルに
月の色のクロスを敷き
BGMには秋の調べを
夕暮れ味の紅茶をいただく

長い夜を共にする
贅沢な読書時間の
はじまり
はじまり

投稿者

東京都

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