シャワーになって踊ろう

初めて聞いた歌。
学校のスピーカーから流れた歌は
あまりにも聞き取りにくかった。
音が大きい訳でもないのに、音質が悪いだけでなんと歌っているのか分かりやしなかった。

シャワーになって踊ろう。そう聞こえた
給食のシチューを掬っている時に、そう聞こえた。
掬った後のスプーンには
驚いた顔の私が反射して、少しの間固まった。

シャワーになって踊ろう…？
降り注ぐということか？
身を任せろということか？
容量少なめの脳みそをフル稼働させた。
授業中も帰り道でも稼働させたが
その真相は、どこにもなかった。

今になってはその聞き間違いは、シャワーではなく、輪だと分かる。
だが、今になってもシャワーだと脳内変換される。
私は、きっと誰かに身を任せて、誰かに無償の愛でも降り注ぎたいのかもしれない。